• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【ご冗談でしょう、ファインマンさん】レポート

【ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉】
リチャード P. ファインマン (著), 大貫 昌子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4006030053/

【ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉】
リチャード P. ファインマン (著), 大貫 昌子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4006030061/

○この本を一言で表すと?

物理学者ファインマン氏の思考法や実績を本人が面白おかしく赤裸々に書いた自伝

○よかった点、興味深かった点

・読みやすい本だといろいろな方に勧められながらも「物理学者が書いた本」というイメージで少し構えて読み始めましたが、最初から最後まで面白く読めました。
理系の知識が自分にもっとあればもっと面白く読めたかもしれませんが、十分に面白かったです。

・周りとは違う考え方で、いろいろなことに興味を持ってチャレンジし、それぞれそれなりにできるようになっていくファインマン氏の生き方はとても魅力的だなと思いました。
物理学一辺倒という訳でもなく、いろいろ寄り道をしてそれを楽しんでいたというのは、こういう思考の人こそ他の専門家が見つけられないことを見つけられるのかなと思いました。

1 ふるさとファー・ロッカウェイからMITまで

・「繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史」という本で「テクノロジーは科学の母」という表現があり、実際に発展していった技術から科学的な知見が生まれるということが述べられていましたが、ファインマン氏自身が最初はいろいろなものに興味を持って自分なりに分析したり解析したりしていて、そこから科学的な知見が生まれたとすると確かにその通りだなと思いました。

・いたずらをするのにも工夫している様子は、される方としては迷惑ですが、発想力を強化する訓練になりそうだと思いました。

・大学を卒業してすぐに知り合いと銀メッキの事業を始め、それなりにうまくいっていたというのはすごい応用力だなと思いました。

2 プリンストン時代

・催眠術の実験台になってみたり、読心術を実践して見たり、DNA発見のワトソンと一緒に生物学の研究をしたり、うまくいけば生物学でも大きな研究結果を残せそうになったり、興味のある分野への首のつっこみ方がすごくてそれなりに結果を出すのもすごいなと思いました。

3 ファインマンと原爆と軍隊

・猟犬が臭いで物を判別しているところを見て自分でもできるのではないかと思って実践してみるところは、ある意味とても科学者っぽいなと思いました。

・権威的なものやエラそうなものが嫌いなファインマン氏が軍の検閲するものを冷やかしたりギリギリの所をすり抜けて楽しんだりしているのは読んでいてヒヤヒヤしますが、万事こんなカンジだったのかなと思いました。

・金庫破りの名人になる話は妙に具体的に手法が書いてあって面白かったです。
現代で言えばハッキングのソーシャルエンジニアリングと同じ要領で、人的なところからある程度情報を収集して開錠に取り組むのは一緒だなと思いました。

4 コーネルからキャルテクへブラジルの香りをこめて

・私は昔、「物理学者は何を見てもその物体の作用や動きなどを数式でも理解できるのだろうな」と思っていましたが、ファインマン氏がまさにその通りで皿の動きを見て理論を導き出しているエピソードで私が思い浮かべていた物理学者像に該当する人がいたのだなと嬉しく思いました。

・バーで意地を張って乱暴な客と殴り合ったり、ナンパの技術も科学的な視点で見てその道の達人に教わって成功したり、ある意味素直でいろいろな場所に行ってその場を思い切り楽しむ人だなと思いました。

・ドラム好きでブラジルに行った時にサンバチームに入れてもらってそれなりに実績を出したり、ポルトガル語を学んで講義したり、本当に多才な人だと思いました。

・当時のブラジルの暗記教育への憤りは今の日本の教育にも繋がるところがあるのでしょうか。
インドネシアなどで日本の教育手法を取り入れようとしているくらいなので、底上げとしてはそれなりに有効な教育手法だとも思いますが。

・カジノでの勝率を計算し、なぜプロとして立ち回っていることができるのかを疑問に思い、その仕組みを解明していくところも科学者としての態度でカジノに立っているというカンジでどこにいてもマイペースに自分らしくいられる人だなと思いました。

5 ある物理学者の世界

・日本に初めて行った時の話で、日本らしさを楽しもうとするところはさすがだと思いました。
原爆の開発に関わったということが当時の人に知られたらどうなったのだろうかと思いましたが、そういった記述はありませんでした。

・芸術と科学の接点を作ろうとして芸術家に科学を教え、自分は芸術を学んで、絵を本格的に書き始めてついには個展まで開いたというのは本当に凝り性というか始めるととことんやる人だなと思いました。
ノーベル賞を取った後で、それを黙って書いていてそれでもそれなりに認められたというのは本当にすごいなと思います。

・音楽でもバレー団のバックミュージックを手掛けてそこそこまで評価された話もすごいです。

・科学の教科書の検定に携わって本の内容に激怒しているところは、形式ばかりで中身のないものを嫌うファインマン氏らしいエピソードだと思いました。
他の委員が他人に読ませて評価を集めているのに対し、全部読んで評価したのはファインマン氏らしい誠実さだと思いました。

・ノーベル賞を面倒臭がって、断る方がより面倒臭いから授賞式に参加したというのは、ちょっと盛っている気もしますが、らしいといえばらしいエピソードだと思いました。

・物理学者の教養講座でマヤの数学や天文学ができることを披露し、なぜできることになったのかというと、メキシコに行った時に当時の奥さんについていくのが面倒でその場で楽しめるものがそれだったからというところが、どこでも何か自分が楽しめることを探すファインマン氏らしい経緯だなと思いました。

・最後のカーゴ・カルト・サイエンスの話は、科学者だけでなくビジネスマンでも「こうあってほしい」ということからスタートしてそれ以外の情報をカットしてしまう心理傾向を考えると有用だなと思いました。
事実に誠実であるファインマン氏らしい締めのエピソードだと思いました。