• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【韓非子】レポート

【韓非子】
西川 靖二 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4043675054/

○この本を一言で表すと?

 韓非子の内容が軽めの内容である程度理解できるようになる本

○面白かったこと・考えたこと

・韓非子がマキャベリ以上にマキャベリズムだという話を聞いたことがありましたが、マキャベリの君主論と読み較べてみて、より率直に功利的な内容を述べているのは確かに韓非子の方だと思いました。ただ、述べている内容の階層やレベル感が違うので、一概に比較できないような気もしました。

・秦の宰相になった李斯が韓非子を陥れた話は知っていましたが、李斯と韓非子が共に荀子の門人であったことは初めて知りました。

第一章 孤独な思想家―法術の士―

・信じられること、信じられないことの境目が行動や徳ではなく、美醜や関係の遠近であったり気に入るか気に入らないかであったりというのは、身も蓋もないですが「人間」を直視しているなと思いました。

・苦言を呈する者が嫌われること、君主の周りの重臣はほとんど甘言を用いて君主に気に入られた者たちであることなど、通常発生するパワーバランスと、それに対抗する法術の士の不利な立ち位置は、かなりの苦難の道だなと思いました。よほどコミットしていないと選べない道だと思います。

第二章 支配の技術―「法」と「術」と「勢」―

・君主が臣下を操るための「術」と国家や人民を治めるための「法」が両輪であり、片側だけでは失敗するということを、ある程度成功を収めた後に失敗した申不害と商鞅を例に出して説明しているのはうまいなと思いました。

・二柄(刑と徳)のどちらかを手放した君主が滅びるというのは、両者が政治を継続的に治めていくために必要であることを鋭くついているなと思いました。

・地位や権勢があれば愚か者が賢人を服することもできるという「勢」の考え方はこれも身も蓋もないですが、ごもっともだと思いました

・。尭舜のようなずば抜けて優れている君主や、桀紂のようなずば抜けて劣った君主を例に出して物事を語るのではなく、普通の君主がどのように国を治めるかということを論じるべきという観点は、冷静でその通りだと思えました。

第三章 人間の分析―人間観と世界観―

・人間が欲望によって動く存在と考え、親孝行の息子でも立場として親が邪魔になれば害するようになるというこれまた身も蓋もない例えを出していますが、この利害関係を軸とした透徹した考え方は一理あるなと思いました。

・韓非子が人口の増加と生産量の増加は比例せず、後世における物資の不足が著しくなるというマルサスの「人口論」のような結論に至っているのはすごいなと思いました。

・昔が優れていて乱なく治まり、現代(韓非子の時代)は劣っていて乱れるというのではなく、貧富の格差ができたゆえに乱れているのであって優劣の問題ではなく、それは競争によって改善されるとしているのは西洋の初期の経済学を千年以上も先取りしているような話だと思いました。