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【経営は何をすべきか】レポート

【経営は何をすべきか】
ゲイリー・ハメル (著), 有賀 裕子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478015694/

○この本を一言で表すと?

 経営、特に組織構築に関するトピック集

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・目新しいと思える内容はそれほどなかったですが、マネジメントや組織に関わってくるトピックに幅広く触れられていて再確認できる本だなと思いました。

・1954年生まれの著者が、最新のアップルのツールを使いこなしていたり、若者が好きそうなことにもある程度知っているような記述があったり、経営学の大御所の一人なのにかなり若々しいところもある印象を受けました。この本の第Ⅲ部で重要とされている適応力を持った人物だと思いました。

第Ⅰ部 いま理念が重要である

・理念や企業倫理に関することが、建前でなく真正面に据えて重要なものと書かれていることが新鮮に思いました。
組織がその場しのぎや関係者をだますようなことをしていては、長期的には継続していけないというのはきれいごとではなく、実際にそうだなと思えました。

第Ⅱ部 いまイノベーションが重要である

・「イノベーション」の定義が曖昧で、イノベーティブな企業として取り上げられているランキングでも取り上げた雑誌で大きく顔ぶれが変わることが書かれていていました。
その理由としてイノベーティブな企業の種類に複数あることが書かれていて、なるほどなと思いました。

・イノベーションやデザイン思考が重要であり、重要であるゆえに一部の人間ではなく全員が考えるべきこと、これらは「技術」であり、誰もが身につけることができると書かれていました。
どのレベルかはともかくとして、学習して一つずつレベルを上げることができる能力だということに、私も同意できるなと思いました。

第Ⅲ部 いま適応力が重要である

・ある時代では最有力な技術や勢力が、いずれそれ以上に有力なものに追われていくというのは、本当にその通りだと思いました。

・繁栄企業が凡庸になる三つの要因「重力に負ける(収穫逓減の法則に従って負ける)」「戦略の有効性が失われる」「成功は堕落につながる」というのは、意識している者がいたとしても大多数がこの要因に負け、組織としては堕ちていく、かなり重たい要因だなと思いました。

・適応力の有無を決定づける六つの重要な要因「知的柔軟性」「戦略の柔軟性」「組織の柔軟性」「予測」「多様性」「逆境に負けにくい信条」は確かにどれも重要で、こういった要因が欠けるごとに適応力が落ちていきそうだと納得できました。

第Ⅳ部 いま情熱が重要である

・イギリス国教会でありきたりなやり方から中規模の人数のコミュニティを奨励することで活気を取り戻した例は、人々のニーズに合ったやり方で進めて行けば組織に対する熱意を取り戻させることができるのだという良い例で興味深かったです。

・BNZ(ニュージーランド銀行)の例は、社員が顧客のためにやりたいことを尊重することで組織全体が変わっていくというボトムアップのプロセスで珍しい例だなと思いました。

・ソーシャルウェブの特性から導かれる古いマネジメント慣行と反する十二の特性は、確かに一般的な企業の慣行と反していて、かつ状況によってはという条件はつきそうですが、有効な特性だなと思いました。

第Ⅴ部 いまイデオロギーが重要である

・ゴアテックスを開発したゴア社が1950年代からソーシャルウェブの特性を活用してそれを維持し続け、業績も上げ続けているというのはすごいことだなと思いました。

・ゴア社の話は技術の企業なのでまだあり得そうな話だと思いましたが、トマト加工のモーニング・スター社が役職としてのマネジメントを置かずに運営され、報酬の決定方法まで社員中心に民主的に運営されて成長を続けているというのは更にすごいなと思いました。

・HCLT社の逆ピラミッド型のマネジメントで現場を名目だけでなく実質的にも尊重して成功したというのは、まだ分かりやすく、ありそうな事例だと思えました(本来はHCLT社の事例でも十分にすごいと思いますが)。

・最後の六つのテーマ、二五の課題は多すぎるように思いましたが、この本全体で重要とされていることが良くまとまっているなと思いました。

○つっこみどころ

・25の小節に分かれているからか、各論の内容が薄い気がしました。内容が濃いと感じたところは事例をそのまま載せているところ以外にはほとんどありませんでした。

・帯に書かれていたように、「ウォール・ストリート・ジャーナル誌が選ぶ世界の経営思想家ナンバー1」が書いた本という期待で読み始めましたが、全体的に普通の本だという印象を受けました。

・「訳者あとがき」で「2.5」「5.2」「5.3」「5.5」が特にお薦めと書かれていましたが、「2.5」のアップルの事例はありきたりな内容で、他の事例の方が面白く、個人的にはお薦めできるなと思いました。