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【台湾―四百年の歴史と展望】レポート

【台湾―四百年の歴史と展望】
伊藤 潔 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121011449/

○この本を一言で表すと?

 様々な強国・列強の支配にあった過去と現代に繋がる歴史の本

○この本を読んで面白かった点・考えた点

・台湾島とその周辺で起こった支配者・被支配者の四百年の歴史を詳しく知ることができてよかったです。
日本が支配していたこと、現在親日国と言われる国(地域)になっていることなど、どのような経緯を経て今の台湾になっているか、一連の流れをある程度理解できたように思います。

序章 大航海時代の波しぶき

・古来より中国から領地として見られていなかった地域で、大航海時代で海の領域が重要になってきた時に地政学的な要地に位置していたことでクローズアップされたことが、それから三百年以上も様々な国家に支配されるインセンティブを与え、翻弄されていく地域になっていったというのは、外的環境の動きが大きく影響を与える事例だなと思いました。

第一章 オランダ支配下の台湾

・日本に対しては穏便な貿易相手であり続けたオランダがやはり植民地を求める国家であり、相手によって対応を変え、台湾を露骨に植民地にしていったこと、オランダ・日本・台湾で武器や集団化の程度などが大きく違えばこれだけ差異が出てくるのかと思いました。

第二章 鄭氏政権下の台湾

・近松門左衛門の人形浄瑠璃のお題になった「国性爺合戦」の元ネタが台湾で活躍した国姓爺・鄭成功だということは、初めて知りました。
また鄭成功の母親が日本人だったというのも興味深いなと思いました。
当時清に滅ぼされようとしていた明の勢力が、台湾でオランダを追い出して支配するという流れも複雑だなと思いました。

第三章 清国の台湾領有

・清国が台湾へ緩く進出し、先住民を漢化していくことと移民を送り出すことで自国に取り込んでいくプロセスは悠長ながらも当時の大国であるからこその余裕だったのかなと思いました。

・日本が台湾に進出するまでのプロセスは司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く」である程度知っていましたが、台湾側の事情と清国側の事情は初めて知りました。
距離の近い日本が攻めてきたことでようやく重要性を認識して支配を強めっていったというのは漢民族がトップでなくてもいかにも「中華」という気がします。

第四章 台湾民主国

・日清戦争後に台湾の領有権が講和条約上日本に与えられてから日本が実効支配するまでの間に台湾民主国として独立していたという話は初めて知りました。
そのトップに置かれた人物が半ば強制的にその地位につけられたためにやる気がなかったこと、日本が占領に乗り出した時にトップが真っ先に逃げたこと、日本が戦争並の力を注いで台湾占領に当たったことなど、短期間ながら大きな出来事だったのだなと思いました。

第五章 日本統治の基礎づくり

・台湾総督の権限が政治上も軍事上もトップを握って「土皇帝」と呼ばれるほどの力を持たせていたというのは、大規模な植民地を持った初期の時期としては有効な政策なのだろうなと思いました。

・現地の慣習を調査し、統治に活かそうと力を注いだ後藤新平の識見はかなりすごいなと思いました。

第六章 日本植民地化の近代化

・オランダ、清の支配にあったときから武力抵抗を続けていた台湾の現地人が政治的な運動に方向性を変えたというのは、ある意味で日本の現地での教育が思わぬ方向に効果を発揮したのかなと思いました。

・最初は投資の持ち出しばかりだった台湾が日本に対して利益を還流するほどに振興し、1935年時点で中国側の視察団に自国との格差を感じさせるほどになったというのはすごいなと思いました。

・霧社事件の話は前に聞いたことがありましたが、ある程度文明化させたと日本側が思っていた時にこういった事件が起こるとは、当時の誰も想像がつかなかったのだろうなと思いました。

第七章 日本戦時体制下の台湾

・台湾の現地人が日本人化され、日本の敗戦とともにさっと日本人ではなくなるという流れが短期間に起こったというのは、ある程度日本人としての自分に慣れた人にとってはかなり大変だったろうなと思いました。

第八章 虐殺と粛清の二・二八事件

・日本の占領終了後に共産党に追いやられつつあった国民党の者が流れてきて統治を始め、大いに腐敗した政治を敷いたこと、最初は期待されていながら「犬(日本人)去りて豚(中国人)来たる」と言われるほどに嘆かれることになったことと、台湾人の知識人弾圧として「二・二八事件」が起こり、日本の五十年の統治の間で武力抵抗をして殺された者の人数に匹敵するほど公称レベルで殺されたことなど、支配者が変わるたびに状況が変わっていった台湾の最後の支配者が一番酷いという大変なことになっているなと思いました。

・日本の支配がそれほど良かったというだけでなく、その後の国民党の支配の酷さから日本が相対的にマシに見られ、親日の人が多いのかもしれないなと思いました。

・国民党がソ連を視察して中央集権国家としての手法を学んだということは初めて知りました。
中国共産党と中国国民党の双方がイデオロギーは違っても国家・組織としては同じモデルを目指したというのが、当時の状況でそれぞれがそれを最適だと考えたとはいえ、不思議な気がしました。

第九章 国民党の強権政治

・今では民主的なところだと思える台湾で、秘密警察や思想統制、膨れ上がった行政組織や戒厳令などがずっと働き続けていたということは、最近の台湾しか知らなければ想像しにくいなと思いました。

第十章 奇跡の経済発展

・アジアで発展するケースでよく見られる開発独裁が台湾でも行われ、日本がつくったインフラの恩恵もあって経済成長を続け、またインフレを伴わない健全な成長をできたというのは、これまでの章で腐敗したと書かれていた中央集権の良い面ではあるなと思いました。

・世界初の輸出加工区の設置や、国家として産業振興を実施したということは、うまく選択と集中ができているように思えました。

第十一章 急テンポで進む民主化

・中国が国際的に大きな影響を持ちだしたことと、その中国に国家としての主権を認められないように動かれていることから、アメリカとの国家としての交流関係がなくなり、その裏で「台湾関係法」ができて経済的な交流等は残されたというのは、他の国にはない難しい立ち位置だなと思いました。

・国民党の一党独裁を打破しようとした勢力の動き、民主進歩党が非合法政党で亡くなる前に活動して最後は自殺した鄭南榕、台湾人として国民党のトップとなり、大きく民主化に舵を切った李登輝など、1980年代の台湾の動きはかなり大きかったのだなと思いました。