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【一九八四年[新訳版]】レポート

【一九八四年[新訳版]】
ジョージ・オーウェル (著), 高橋和久 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4151200533/

○この本を一言で表すと?

 戦後すぐの時代に想像された未来の一つが描かれた本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと(極力ネタバレは避けています)

・いろいろな本、特に経営学系や未来予測系の本でよくこの本について触れられていて、ずっと気になっていてついに読めました。
SF小説というジャンルを読みなれないので新鮮に感じました。
背景となる設定がかなり緻密に練り込まれていて、小説の舞台となる世界観を描くためにかなりの労力を割いているのだろうなと思いました。
附録の「ニュースピークの諸原理」のように、言語の単語自体を統制することで思想を統制するという発想と、その設定もすごいなと思いました。

・著者がこの本の内容を書いていた戦後すぐの時代に存在した技術の延長で未来を予測した舞台になっていて、飛躍したイノベーションの結果は予測できずに反映されていないものの、かなりの精度で予測されているように感じました。
逆にこの本を読んでアイデアを得た技術者もいたかもしれないなと思いました。

・ディストピアとしての世界と、その世界の中で抑圧されている主人公の立場、気持ち、考えなどが、身体的な描写と環境の描写を含めて描かれていて、自分も体感しているような重圧を読んでいるうちに感じたように思えました。

・刹那的な衝動や、その先の未来を容易に思い描けるのにその衝動に身を任せてしまう主人公や、この世界ならこういう行動を取ればいずれ消されてしまうということが自明なのに行動を変えられない周囲の人の描写など、状況に置かれた人間の心理や行動の描写も見事だなと思いました。

・主人公視点で書かれた、主人公で辿りつける場所を描くことと、この世界のあり方に強制的に辿りつかせる展開を描くことで、ほぼ一人称に近い書き方なのに複数視点で世界を見ることができたように思いました。
話の流れ上の起承転結と、背景描写など、いろいろなものを兼ねているようで、著者の書き方がすごくうまいなと思いました。

・結論に至るまで救いがない状態で世界が続くというのは、ハッピーエンドの本を読み慣れていると厳しく感じそうですが、この本の内容でハッピーエンドだとハリウッド映画の原作のような陳腐なものになってしまいそうで、そうならなくて良かったなと思えました。

・この本が書かれた1948年、出版された1949年という年から、日本に対する占領政策もモチーフになったのかなと思いました。
占領当初の「日本が朝鮮より繁栄している必要はない」という発展をさせない考えや、公用語を英語にして日本語を消滅させるという考えで、日本独自の外国から見て理解できない部分を根底から無くしてしまおうというところが似ているなと思いました。