【インドビジネス40年戦記】レポート

【インドビジネス40年戦記】
中島 敬二 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822251462/

○この本を一言で表すと?

 インドと関わり続けた商社マンの自伝の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・住友商事の社員だった著者の入社数年目から定年退職後までにあった様々なことに触れられていてどのエピソードも面白く、一気に最初から最後まで読み通しました。
著者のいかにも日本人サラリーマンといった思考と行動とインド人とのぶつかり合いなど臨場感があって面白かったです。

第1章 インド市場開拓

・著者の初めてのインド担当になった時から早期定年退職で会社を辞めようとしたところまでがダイジェスト版で書かれていました。
一番自伝的な内容で読み応えのある章でした。
ヒンドゥー教徒にとって、異教徒は不可触賎民(アンタッチャブル)という認識で、著者がインド人達とエレベーターに乗った時に話しかけるだけで「お前は失礼な奴だ!」と怒られた理由が、不可触賎民の吐いた息をできるだけ吸いたくないからだというのは印象的でした。

・インドで日常的な役人への賄賂や税関の通し方について書かれていて面白かったです。
特に、取引先のインド在住日本人社員にスキヤキをごちそうするために牛肉や卵など合計130kgを運んだ時の話は臨場感がありました。

第2章 インドビジネス成功法

・インドで苦労した著者が努力したポイントやインド人と接する時の注意点等について述べられていました。
インド人の特性として、人種や宗教などとにかく多彩で、考え方を変えることを気にせず、相手をなかなか信じず、人脈の形成に力を注ぎ、謝らず、約束の時間を気にせず、権威に対しては忠実で、ダメモトで何でも頼んできて、驚くべき聴力・視力・記憶力を有していることなどが書かれていました。
日本人がインド人と接する時に気を付けることとして、誰にでも平等に接すること、くどいくらい確認すること、正しいと思ったことは妥協しないこと、暴力は絶対に避けることなどが書かれていました。

第3章 インドでの起業

・著者が商社を辞めた後に始めたいくつかのビジネスについて触れられていました。
割と行き当たりばったりで、第2章で述べられていたインド人の特徴に著者も染まって行動しているようにも思えました。
著者が商社時代に築き上げた人脈の力で、数ある壁を乗り越えていったことは、著者が第2章でも述べていた人脈の大切さの実例として重要性が良く伝わってきました。

第4章 インド人の真実

・インド人が人を信用しない分、友だちと思っている人にはとことん気を許すことが、著者の誕生日を祝ってくれた友人のパーティーに参加することで他の友人が「自分はベストフレンドではなかったのか」と嫉妬して離れていった話でより伝わってきたように思いました。

・著者の「お貰いさん」に対しての考えが興味深かったです。
お金を上げた途端に車いすから立って歩き出したり、毎回違う子供を抱えていたりする施しを渡して後悔したお貰いさんに対して、仕事に対する報酬と考えて自分を納得させているのは、見事な自分の心への対応だなと思いました。

○つっこみどころ

・最後がサイババとの出会いで〆られていたのが意外過ぎて笑いました。

タイトルとURLをコピーしました