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【スウェーデンはなぜ強いのか】レポート

【スウェーデンはなぜ強いのか】
北岡 孝義 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569790224/

○この本を一言で表すと?

 スウェーデンの制度や企業の強みを分析した本

○この本を読んで面白かった点

・スウェーデンの制度設計や有名企業の成り立ちについて詳しく書かれていてよかったです。

第1章 今日のスウェーデン

・スウェーデンの人口の14%が移民(アメリカは10%)という割合の高さは驚きました。

・王政を廃止して共和国を目指した時期があるほどのスウェーデンで、フランス人であるベルナドッテの子孫を国王としていながら国王を国父・国母として敬愛されているというのは不思議だなと思いました。

・似ているような印象のある北欧の4国でフィンランドはEUに加盟しユーロを適用、スウェーデンとデンマークはEUに加盟しながらユーロを非適用、ノルウェーはEU非加盟というのは面白いなと思いました。

第2章 高度成長期の苦悩とスウェーデン・モデルの誕生

・男女分業の伝統的な家族が崩壊し始めた時期に、国家を「国民の家」と位置付けて男女平等を進めていったというのはすごい対応力だなと思いました。

・スウェーデンも含めた北欧は自殺率が多いという話を聞いたことがありますが、スウェーデンで自殺率が高かったのは高福祉・高負担の政策が完成する前で、社会民主党が与党であるスウェーデンに対して悪印象を持っていたアメリカのアイゼンハワー大統領がネガティブ・キャンペーンを張ったことによるイメージが今でも残っていて、実際の自殺率は自殺大国とは言えないレベル(日本の半分程度)というのは初めて知りました。

・1946年から23年間首相を務めたエランデルが「強い社会」をスローガンとして経済強国を目指し、成長のための労働力として女性の就業を促進したことが今にも繋がっているというのはすごい影響力だなと思いました。

・スウェーデンでは政治が信頼されていて、その理由の一つに透明性があり、国会議員の活動経費は全て領収書が必要とされだれでも確認できるようになっていて、スウェーデン発のオンブズマン制度が国費で運営され、説明責任もしっかり果たし、選挙の投票率が常に80%を超えるというのはすごいなと思いました。

・中道左派の社会民主党から中道右派連立政権に変わってもスウェーデン・モデルは維持するというその一貫性もすごいなと思いました。

第3章 スウェーデンの企業

・H&Mが全ての顧客に個性的なファッションを実現させるというコンセプトを持っているということを初めて知りましたが、ユニクロとはかなり異なる路線なのだなと思いました。

・イケアの創業者イングヴァル・カンプラードがヒトラーやナチスを支持する団体に所属していたことがあり、そのことをイケアで働くユダヤ系従業員に謝罪したというエピソードは初めて知りました。

・イケアが「だれにも支配されない会社」を目指してオランダのスティヒティング・インカ・ファウンデーションという慈善団体がイケアの持ち株会社インカ・ホールディングスを所有していること、その「だれにも支配されない会社」は欧州ではよく見られることを初めて知りました。

第4章 新しい福祉政策と年金改革

・スウェーデンが経済不況・財政赤字と高齢化・少子化という危機を迎える中で、国民の中で危機感が共有され、持続可能な制度を目指して年金制度が再構築されたというのはすごいなと思いました。

・ある程度不公平な制度設計(後半に給料が高ければ得、途中から働かない方が得)になっていたところを、働けば働くほどもらえる額が大きくなる仕組みに変え、基礎年金部分を排除して所得比例分を基本にして最低保証を定め、自動的収支均衡メカニズムを導入して年金料の支払総額と給付の予定総額のバランスが崩れたら年金料の支払総額に合わせて給付額を調整するという仕組みに変更したことは本当にすごい取り組みだなと思いました。

・日本の年金制度とその変更過程が例として挙げられていましたが、日本が晒し者にされているとしか思えないその差をひしひしと感じました。

第5章 成長戦略としての福祉

・成長戦略としての福祉という考え方があること、アメリカやメキシコという例を除けば社会保障費の対GDP比と経済成長率に正の関係があること、高福祉による新産業が生まれて大きな産業に育ちつつあることなどは高負担面がクローズアップされやすい中で面白い見方だなと思いました。

○つっこみどころ

・スウェーデンのポジティブな面のみが取り上げられていて若干公平性に欠ける内容だなと思いました。