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【物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代】レポート

【物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代】
岩根 圀和 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121016351/

○この本を一言で表すと?

 物語風味が強いスペインの歴史のメイントピックをピックアップした本

○この本を読んで面白かった点

・世界史の本で一行または数行で紹介されていたトピック(後ウマイヤ朝、レコンキスタ、レパントの海戦、無敵艦隊など)が詳しく説明されていて、また当時の様子が物語風に豊かに描写されていて面白かったです。

第Ⅰ章 スペイン・イスラムの誕生

・有名なジブラルタル海峡の語源が、イベリア半島を侵略したイスラム帝国の指揮官ターリックだということは初めて知りました。
イベリア半島のイスラム国家が分裂・統合を繰り返しながらも700年以上存在し続けたことを不思議に思っていましたが、その経緯が分かってよかったです。

第Ⅱ章 国土回復運動

・1492年のレコンキスタ完遂とそれ以降のモーロ人への差別や追放、ユダヤ人の虐待、新教徒への異端審問などの経緯が詳しく書かれていました。
異端審問による処刑が庶民の見世物とされている様子が物語風に描写されていて印象的でした。

第Ⅲ章 レパントの海戦

・レパントの海戦当時の船乗りの悲惨な状況が詳しく描写されていてその大変さがよく伝わってきました。

・ドン・フアン・デ・アウストゥリアという当時の国王フェリペ二世の異母弟が艦隊の全権を握り、兵数が倍近くのトルコ軍を打ち破る経緯が地図付きで解説されていて面白かったです。

・ガレー船のサイズによる違い、当時の大砲の位置づけなどが詳しく書かれていて戦術・戦闘レベルまで想像しやすかったです。

第Ⅳ章 捕虜となったセルバンテス

・「ドン・キホーテ」の著者のセルバンテスがトルコの捕虜になり、誤解から身代金が跳ね上がり、5年間捕虜生活をすることになったこと、その中で4回も逃亡を図り、その都度死刑を宣告されながらも生き長らえたことの描写はなかなかリアルで面白かったです。
当時の捕虜となった人間の扱いなどにも詳しく触れられていて、生きるだけでも大変だったという状況がよく伝わってきました。

第Ⅴ章 スペイン無敵艦隊

・スペインの無敵艦隊がイギリスに敗れたのは戦術レベルで古かったため(狙いどころが甲板か船腹か、艦船対決か白兵戦対決か、など)だと「世界史が簡単にわかる戦争の地図帳」で書かれていましたが、この本では艦隊を率いることになったメディナ・シドニア公がフェリペ二世の指示を頑なに守って臨機応変に対応できなかったためと書かれていて、無敵艦隊の航路や戦闘の経緯からするとこちらの方が正しそうだなと思いました。

・船同士を繋いでいるところを火船でやられるところは三国志の赤壁の戦いそっくりだなと思いました。

・無敵艦隊のイギリス侵攻作戦が一度だけではなく十年後に二度目を企てていて自然に敗れていたということは初めて知りました。

終章 現代のスペイン

・世界史の教科書では第二次世界大戦のところでヨーロッパはドイツ、フランス、イタリア、イギリスくらいしか書かれていませんでしたが、スペインでもスペイン市民戦争が起き、フランシス・フランコによる独裁が始まったこと、フランコは国民に対する弾圧の激しいファシスト政権を築きながらもヒトラーの援助をきっぱりと断ったという経緯などは初めて知りました。

・スペインが今も王国だということは初めて知りました。

・バスク民族主義のテロリスト集団であるETA(祖国バスクと自由)の説明で、その激しい活動ぶりに驚きました。ETAは2011年10月20日に武装闘争の終結を宣言したそうです。

○つっこみどころ

・物語風にされすぎていて、史実を掴みとりにくかったです。

・ポイントポイントが詳細に書かれていたのはよかったですが、歴史全体の流れがわかりませんでした。