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【科学革命の構造】レポート

【科学革命の構造】
トーマス・クーン (著), 中山 茂 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4622016672/

○この本を一言で表すと?

 科学革命についてや通常科学との関係について触れた科学哲学と科学史の本

○面白かったこと・考えたこと

・いろいろな本で出てくる「パラダイム」について、それらの本で使われている意味で最初に使用した人物としてトーマス・クーンのことを知っていましたが、その「パラダイム」が出てくる著作に触れることができてよかったです。
自己啓発書だと「考え方の枠組み」として出てきますが、この本ではそれだけでなくいろいろな意味で使用されていて、この用語の意味を考えさせられました。

・著者の下で研究していた人が補章を掲載することを勧め、日本語訳をしているというのが興味深いなと思いました。

・教科書で学ぶことと、専門として研究することの違いが、はっきりと述べられていて今までなんとなく理解していたことをしっかり理解できたように思いました。
教科書だと時系列で累積的に「ニュートンの理論が述べられてそこからアインシュタインの理論に発展して・・・」という流れですが、専門としての研究では現在採用されているパラダイムに則って全てを理解し、研究を進める、となっているのは納得できるような気がしました。
村上陽一郎の「新しい科学論」ではニュートンの理論をアインシュタインの理論が包含しているような図式で書かれていましたが、同じ内容についてでも理論が違えば事実の解釈も違うというトーマス・クーンの考えとは違っているのかなと思いました。

・パラダイムを信じることができる状態で、通常科学を突き詰めていくこと、それによって初めて具体的に検証されていくこと、という流れはなるほどと納得できました。
パラダイムを変革した人・著作では具体的な内容が曖昧で、それを信じて通常科学をつめていくこと、検証するための器材等が開発されていくこと、というのは考えてみたらそのとおりだろうなと思いました。

○わからなかった点

・新しいパラダイムに移行したら、古いパラダイムは完全に誤りとされるような、完全に淘汰されるような書かれ方でしたが、実際にそこまで極論はあるのかなと疑問に思いました。
古いパラダイムによって解釈された内容が新しいパラダイムによって全て解釈され直す、ということでしょうか。

・第十三章の最後で、結論がよくわかりませんでした。

・補章で「パラダイム」を大きく二つの意味で使用していて「考え方の枠組み」「一般的記号化」などを「専門母体(disciplinary matrix)」として読み替え、「共有する例題」の方が重要なのでこれを「パラダイム」とする、としていましたが、この重要性の違いがよくわかりませんでした。

○つっこみどころ

・18ページで「たとえばニュートソ」という誤字があって笑いました。
自分の購入した本は第40刷で最初に出版されてから45年後に印刷されたものでしたが、まだ誤字が残っているのが面白いなと思いました。

・縦書きの本なのに「上述」「上に述べるように」としているのが気になりました。