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【物語 スペインの歴史 人物篇―エル・シドからガウディまで】レポート

【物語 スペインの歴史 人物篇―エル・シドからガウディまで】
岩根 圀和 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121017501/

○この本を一言で表すと?

 スペインの有名な人物の視点で描いたスペインの物語の本

○この本を読んで面白かった点

・エル・シドの名前は聞いたことがありましたが、実際の人物像と物語上の人物像の両方を知ることができて良かったです。
姉妹本でエル・シドが王に追放されてイスラム諸王の下で活動していたようなことが書かれてあり、キリスト教国で銅像まで建てられている人物とのギャップに違和感を感じていましたが、略奪目的でキリスト教国であろうがイスラム教国であろうが誰の下にでもつく実像とレコンキスタの先陣を切る虚像の違いなのだということが分かりました。

・姉妹本でも印象的だった狂王女フアナの詳細な経歴がわかってなかなか興味深かったです。
レコンキスタを完遂したカトリック両王の次女でありながら王位継承権が回ってきてそのおかげでスペイン嫌いの夫に振り回され、息子には幽閉されるという、中世の貴族女性の不遇な人生の中でも際立っていると思いました。

・スペインのアメリカ大陸におけるインディオ支配の矛盾を突きつけて論じつづけたラス・カサスの話は、この時代のスペインにこんな人物がいたのかと驚かされました。
詭弁でカトリック教会・教国がインディオ支配を続けて利権を貪る中で正論を述べているカサスは、正義の人ではあるものの、当時の支配者からすれば苦々しい存在だったのだろうなと思いました。

・姉妹本でかなりの紙面を割いて取り上げられていたセルバンテスが殺人事件の容疑者として捜査されていた時の調書からセルバンテスの当時の家族構成や暮らしぶりが分かったというのは面白い話だなと思いました。

・美術に詳しくない私でも知っている画家ゴヤが耳が聞こえなくなってからさらに画家としての才能を開花したという話は、脳医学者でもあるオリバー・サックスの障害が別の脳機能を開花させるという話を思い出させました。
書いた絵から異端審問所に狙われつつも何とか切り抜けて長生きできたのはある意味すごいなと思いました。

・サグラダ・ファミリアの設計者ガウディが、当初の設計者が投げ出したことなどの経緯で若くしてその仕事を受けることになったこと、若い頃は伊達男だったガウディが恐らくは失恋から身の回りに気を遣わず浮浪者のような格好をしていたことなどは初めて知りました。
当時のスペインの鉄道の怖さや、浮浪者のような格好のせいで鉄道にひかれた後もなかなか見つけられなかったガウディのエピソードも興味深かったです。