【村の日本近代史】
荒木田 岳 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480073558/
○この本を一言で表すと?
日本の「村」のあり方が近世以降どのように変わってきたかの歴史の本
○よかったところ、気になったところ
・本のタイトルから、中央の日本近代史に対して、その周辺の異なる日本近代史があった、という話と思っていました。
読んでみると本の内容は中央の近代史そのもので、政治による「村」のあり方の変化や、位置づけの変化があり、人の管理や土地の管理、徴税のための管理であったことがわかりました。
・もともと「村」は人の集まりだったこと、秀吉がそれを土地に属するものにしたかったこと、江戸時代にそれと逆行する流れになり、明治に戻ってようやく完成したことなど、「村」を通じた歴史の流れが面白かったです。
・江戸時代でも明治時代でも、ある程度のまとまりとしての徴税額を決め、それを割り振るために検地・土地調査結果から割り当てていた、という話は、土地調査を完全に終えることができなかった状態での合理的な知恵だなと思いました。
・「機関委任事務」が村に課された流れが興味深かったです。
現代の行政法では「法定受託事務」となっていますが、その源流がこのような経緯で整備されていたのかと思いました。
○つっこみどころ
・海外の状況を見て、秀吉が「土地に属する村」という構想を進めたという話がありましたが、その因果関係がよくわからないなと思いました。