【「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ】
鈴木 博毅 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478016879/
○この本をひと言でまとめると。
「失敗の本質」を他の本の解釈と著者の経験を絡めてわかりやすくした本
○よかった点・考えた点
・「体験的学習」の単発性、偶然性などに関することは「失敗の本質」ではあまり印象に残りませんでしたが、本書ではクローズアップされていて内容にも納得できました。(P.53など)
・最新というほどではないですが、「失敗の本質」が出版されて以降の事例(インテル、マイクロソフト、アップル、日産、富士フィルムなど)を出して説明されていて分かりやすかったです。
・レーダー技術や飛行機の構造など、「失敗の本質」に書かれていなかったことが書かれていて勉強になりました。
・全体として「失敗の本質」に比べてかなり読みやすい本でした。
・経営学などを勉強し始めたころ、理論ばかりふるって現場を理解していない発言をしていたことがあったことを思い出し、「道半ばの者は増長する」という言葉も併せて思い出しました。現場を知らない・知ろうともしない典型であったことを今は恥ずかしく思います。
・この本のようにある本の入門本、応用本として他の本などと絡めて本を書くのは一から書くよりできそうだなと思いました。
○つっこみどころ
・「7つの敗因」として章立てしていますが、内容が一致していなかったり2つ以上の要因に重複している内容だったりして章立てに失敗している印象を受けました。
・「超」入門というタイトルだけに話を単純化しようとしているのだとは思いますが、メリットに合わせてデメリットを併記していないことが少し気になりました。(P.183など)
・沖縄戦の解釈が「失敗の本質」と異なっていて少し気になりました。(本書:大本営の介入、「失敗の本質」:指揮系統の重複)
・総じて、「失敗の本質」の入門書にはならない本だと思いました。(「失敗の本質」を部分的にしか取り上げていない、独自の解釈を取り入れている、などから)