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【静かなリーダーシップ】レポート

【静かなリーダーシップ】
ジョセフ・L. バダラッコ (著), 高木 晴夫 (監修), 夏里 尚子 (翻訳), 渡辺 有貴
https://www.amazon.co.jp/dp/479810261X/

<序章>

○最も実践的なリーダーは大衆のヒーロー(高尚な理想を掲げたり、倫理的な使命感を持って周りを率いたりする人)ではない。
 ⇒真のリーダー(静かなリーダー)は忍耐強くて慎重で、一歩一歩行動する人、犠牲を出さずに、正しいことを実践する人

<第一章 現実を直視する>

○現実主義

世界が動かない標的・地の利が分かっている場所とは考えず、さまざまなものが映し出される万華鏡だととらえている。

○ガイドラインとなる四原則

一、すべてを知ることはできない

自分の理解を過大評価しない。知りえない情報があることを前提に考える。

二、予想外の事態

対処すべき未知は「未知であると知られている未知」と「未知であると知られていない未知」の二つ。
⇒事態はそれぞれ一つ一つ説明できる・・・が、後になって初めてわかる。複雑な要因が絡み合っている状況がどのような方向に進むのかを予想するのは非常に難しい。

三、インサイダー(内部の事情に精通している者)に目を光らせる

インサイダーの影響力とアウトサイダーの不利を考慮に入れる。インサイダーに決定権があることが多いため、動向に注意する。

四、信頼しても、切り札は残しておく

信頼を築くのには時間がかかり、築けたと思っても本当かわからない⇒手の内の全てはさらさない。

○現実主義と冷笑主義

冷笑主義(人間は偏狭かつ利己的で、通常は矮小な動機に基づいて行動するもので、予測できると考える)と現実主義(良いことも悪いことも、ありとあらゆることが起きうると考えており、予想外の事態を受け入れる心の余裕が大きい)の違い。静かなリーダーは現実主義であり、世界をまっすぐに見ている。

<第二章 行動はさまざまな動機に基づく>

○複雑でさまざまな動機が静かなリーダーの成功のカギになる二つの理由

 一、動機が利他主義や自己犠牲だけの場合、行動を起こすことや結果を出すことが稀であること。静かなリーダーは利己主義や低俗な動機等のさまざまな動機から強さを引き出し、活用する。

 二、リーダーシップを継続的に発揮するにはインサイダーになることが必要⇒権力や影響力を維持するため、自己の地位を守る必要がある。(健全な利己主義の感覚が必要)
 ⇒さまざまな動機がある「にもかかわらず」成功するのではなく、「からこそ」成功する。

○正当な動機

高尚な動機と低俗な動機が交じり合った動機⇒倫理的なことも自分の利益も両方満たしたい、という動機⇒三つの教訓

○三つの教訓

 一、「いちゃもん」ゲーム(正と悪を対抗させる 例:ジョン・ケネディやキング牧師に対して浮気をした人として非難し、功績まで否定)をやめよう⇒動機はある程度良ければ十分と考える。

 二、自分にとってその問題が本当に重要なのか・・・利己的にも重要であると判断できれば、低俗な動機が高尚な動機を強化し、強さ、決断力、忍耐力が増強される。⇒強烈で良い動機がなければ長時間かかる物事を成し遂げることができない。

 三、世界を救おうとするな・・・高尚な動機に基づいて行動するだけでは、自分の身の破滅だけで何も達成できない。⇒自分の立場をわきまえた行動が必要(勇気と無謀は異なる)

○十首の蛇

納屋の二匹の蛇(一匹は首一個、もう一匹は首十個)は火事の時にどちらが助かるか?という昔話。
 ⇒この昔話の教訓は単純な選択の場合のみ適合する⇒現実の複雑な問題を解決するには十首の蛇の方が良い
 ⇒難題に直面したとき、動機が複雑なのは状況を本当に理解している、ということ。
 動機を列挙すると支離滅裂ですらある(さまざまな義務、個人的感情、忠誠心、実務的な考慮事項など)
 ⇒混乱する動機をありのままに認識すれば、さまざまな方法を検討し、状況をより広範に学習できる。

○歪んだ人間性

・常に変化している動乱の中で正しいことする人間にとっての四つの教訓

 一、行動の方向性を設定し、動機によって泥沼に陥らない・・・同じことを何度も考える内省は消極性と無為無策につながる。

 二、リーダーシップを発揮するのに、自分が不適合だと考えない・・・性格や動機は流動的で複雑だから具体的に説明できないことも多い⇒不適合かどうかなどわからない。

 三、自分自身と自分の動機を信じる・・・道徳的に何かをすべきだと思い込むと本質が見えなくなり危険

 四、自分にとってその問題が本当に重要であるかどうかを確認する・・・リスクを取って行動を起こすべき問題か判断する。

<第三章 時間を稼ぐ>

○実践的なリーダーは、問題に突進するのではなく、何とかして時間を稼ぐ方法を考える。

 ⇒常に変化する予想不可能な世界では、流動的で多面的な問題に対して、即座に対策を考えるのは無理。
 ⇒「人生は戦争と同じで、近道には普通、地雷が埋められている」

○多種多様な動機、倫理的問題、利益等が絡み合ったケースへの対応

・策略ゲーム

策略を巡らすことは理想的な方法ではないが、時には必要になる次善の方法。

・二種類の時間稼ぎ

 一、その場しのぎの時間稼ぎ・・・日常的な言い訳でちょっとした時間稼ぎ⇒機知、自制心、少しの大胆さが必要。

 二、戦略的な時間稼ぎ・・・重大な理由があって、大幅に遅れるのだと思わせる。
  ⇒「スタッフに参加させる」「専門家に相談する」「シナリオを立案する」「上司に餌を与える」「他の問題へ目を向けさせる」
  ※気をつけること:静かなリーダーは策略ゲームをむやみに利用しない。(単に欺瞞や責任逃れに走るケースもあるから)

<第四章 賢く影響力を利用する>

○静かなリーダーが検討すべき資本は「影響力」

「自分の評判」と「仕事上の人間関係」で構成される。

○静かなリーダーは自分の「影響力」を危険にさらす前に、リスクと報酬を考える。

○三つの問いかけ

どのくらいの組織力が自分にあるか?
そのリスクはどのくらいか?
どのような見返りを得られるか?

一、「影響力」を構成する「評判」は仕事の本質とはあまり関係ない場合もある。アウトサイダーは「影響力」が小さく、まず高める必要がある。高めるにはチーム・プレイヤーとして、所属する組織に利益をもたらさなければならない。

二、影響力へのリスクを測る必要性・・・リスクを限定するなどの施策。「この世で最も強烈な力は、ゴシップである」

三、影響力を考慮に入れた「投資収益率」を検討する。
⇒静かなリーダーはリスクの高いベンチャー・キャピタルへの投資家と同じ⇒収益の見込みが大きければ大きなリスクを取る。

○アリストテレスの四つの徳(慎重さ、正義、勇気、穏健さ)

 ⇒正義と勇気はヒーロー型のリーダーシップ、慎重さと穏健さは静かなリーダーシップ(中道をゆく)

○静かなリーダーに必要な資質

⇒「難しい状況に慎重に取り組む勇気」
⇒行動を起こせば最後までやり通す勇気
⇒静かなリーダーは「慎重だが熱心」「分析的でありながら情熱的」「一歩距離を置きながらも熱心に任務に取り組む」

<第五章 具体的に考える>

○ヒーロー型リーダーシップは現実の生活や仕事につきものの技術的、官僚的な複雑さを考慮しない

⇒静かなリーダーは複雑な問題に直面すると、忍耐強さと粘り強さをもって、自分が何を知っているのか、何を学ぶ必要があるのか、だれからの支援が必要なのかを理解しようとする。
⇒複雑な問題を掘り下げ、具体的に考える。

○複雑な問題

問題に倫理的な要件や技術的な要件等が入り混じっている。
 ⇒静かなリーダーは専門家にまかせっきりにせず、また専門家が必要であることも認識している。

○四つのガイドライン

一、職責を忘れない

物事が複雑でも責任を曖昧にしない。複雑な問題は疲弊と混乱を生じさせるが、投げ出すことなく取り組む。

二、自分の魚を見よ

問題を徹底的に見つめ、考え尽くす。

三、一人でするな

解決するには訓練、経験、専門知識が必要。訓練と経験を積んだ人は特定の問題について詳しく、また問題を感覚的に理解できる。

四、一歩下がること恐れるな

気になる不協和音等を無視せず、時間を稼いで適切な人間に問題を対処させるなどのさまざまな手を打つ。

<第六章 規則を拡大解釈する>

○往々にして物事は複雑であり、日常生活では規則を厳密に守ると害があるような状況が無限にある。

 ⇒静かなリーダーは規則違反ではなく、想像力と創造性を駆使して規則を拡大解釈する方法を探している。

○規則を真剣に考える

規則の意味や適用範囲を倫理的にも、自分の利害関係的にも真剣に考える。

○解釈の余地を探す

窮地に陥ることなく、迂回して達成できる方法も必死で考える。

○企業家精神の倫理

静かなリーダーは事務職ではなく企業家として問題に取り組む
⇒策を講じる措置を徹底的に追求し、成果を得る。

○リーダーシップと狡猾さ

安易な近道を選ばずに実践的で実現可能な方法を見つけ、すべての責任を果たす。

<第七章 少しずつ徐々に行動範囲を広げる>

○事態を把握し、些細なステップを適切にこなす

「慎重さ」と「謙遜」が必要となる

○探りながら、少しずつ実行する

過剰な反応をせず、物事をあるがままに受け止めて状況を判断し、できるところから始める。

○徐々に拡大していく

「洞察力」と「自制心」を働かせ、すべきことを限定せず、できる範囲で早く行動する。

○静かなリーダーシップのフラストレーション

先の先まで読む能力を持たないなら(たいていの人は持っていない)最後に健全で実践的な答えを得るために、適切な方法を見つけることに専念する。
⇒静かなリーダーにとってのリーダーシップは、一回限りの大げさで勇気ある出来事ではなく、長くてあやふやな手順であり、忍耐力を強いられる。

<第八章 妥協策を考える>

○静かなリーダーは、基本的な倫理観は妥協せずに貫き通すべきであるとするが、ほとんどの状況では妥協可能であると考える。

 ⇒静かなリーダーにとって、妥協を考えることは実践的な知識を習得して実行に移すことである。
 ⇒責任を果たせる妥協とは単なる妥協ではなく、実行可能な責任ある方法を取ることである。

○相反する動機に対して誠実に対応する

感情や利害の軋轢を理解し、ジレンマの解決方法を判断する。
⇒倫理だけでなく、経済的利害も含めて広範に検討する。

<第九章 三つの静かな特徴>

一、自制

難問を創造的に解決するためには、多くの場合、前提条件として自制が必要。
⇒リーダーシップは一回限りの大げさな行動ではなく、長時間かかるプロセス
⇒安易な判断を下す(楽なプロセス)でなく徹底的に検討して判断を下す(困難なプロセス)を実施するには自制が必要。

二、謙遜

自分の知識や自分の役割についての謙遜⇒徹底した現実主義⇒自分の能力は全体の一要因でしかない

三、粘り強さ

最後までやり遂げる力
⇒高尚な倫理感だけでなく、個人の利益も含めた複合的な動機付けによる。
⇒自制と謙遜はブレーキ、粘り強さはアクセル
⇒走るためには両方必要。