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【ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実】レポート

【ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実】
フリーク ヴァーミューレン (著), 本木 隆一郎 (翻訳), 山形 佳史 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492502467/

○この本を一言で表すと?

 ヨーロッパの経営学者が書いた統計的な視点から一般論を否定したりする本

○面白かったこと・考えたこと

・学問的なことを分かりやすいエピソードで書かれていたり、これまでに読んできていい本だと思っていた本の内容もズバリと否定していたり、読みやすくて刺激的な内容でした。久しぶりに邦題がしっくりくる翻訳書に出会った気がします。

・最近の経営学の傾向なのか、心理学的な内容が多いような気がしました。「影響力の武器」や「選択の科学」など、個人の意思決定に焦点を当てている気がします。

Chapter1 今、経営で起きていること

・「多数の無知」という多くの人が反対意見を持っていても「他の人はこの案を気に入っている」と思うというのは確かにある気がします。

・数字で判断することの危険性を、分かりやすいことだけで判断する「酔っぱらいの自転車乗り」に例えているのは面白いなと思いました。

Chapter2 成功の罠(とそこからの脱出方法)

・成功の罠、視野狭窄の話は割とありがちな話ですが、それを脳の仕組みのメンタルモデル(似ている記憶に現実をすり合わせる。プライミング記憶)で説明しているのは面白かったです。

・危機をチャンスととらえられない「対脅威萎縮効果」は確かになかなか逃れられない心理効果だなと思いました。
孫子の「智者の慮は利害に雑う」という考え方はやはりビジネスにも使えそうだなと思いました。

Chapter3 登りつめたい衝動

・アボリジニ社会で育てたヤム芋の最も大きい者に高い地位を認めるという習慣がそれに執着して土地の荒廃を招いたことをM&Aなどで実績を築きたい経営者の例えにしているのはうまいなと思いました。

Chapter4 英雄と悪党

・「成功した経営者がヒーローとして取り上げられるが、そもそも成功した経営者は優秀か?」という問題提起が斬新だなと思いました。
リスクを冒す者が大きな成功を得やすく、もちろん能力でその大きな成功を得た者もいるがおバカな者もいるということを統計的な結果として書かれているのは面白かったです。

Chapter5 仲間意識と影響力

・投資銀行の利益相反、仲がいいかどうかによって変わる経営者・取締役の評価・報酬の話は、人間らしさがそれを抑えるように考えられた構造ではなかなか対抗できていないいい事例だなと思いました。

Chapter6 経営にまつわる神話

・経営政策などがどれほどの効果を出しているのか、原因と結果が逆になっていることはないかという疑問提起で「エクセレント・カンパニー」や「ビジョナリー・カンパニー」の主張を単純すぎると切って捨てているのはなかなか新鮮だなと思いました。

・「流行の経営手法」を取り入れても経営が良くなっているわけではないという話は納得できますが、表面的ではなく、理解した上で自社に適合するように取り入れることができた企業はどうだったのかが気になります。

Chapter7 暗闇での歩き方

・「準備をしてラッキーを待つ、ラッキーを活かして成功する」という考え方は「仕事は楽しいかね?」シリーズの主張と一緒だなと思いました。

Chapter8 目に見えるものと目に見えないもの

・平等な社員の取り扱い、CSR等を重視しているのはいかにもヨーロッパの経営学者らしいなと思いました。

 ○つっこみどころ

・用いている統計が若干恣意的な気がします。アンケートに答えてくれる人のバイアスなどは考慮されていないのではと。

・P.224,225の今のビジネスの変化の速さは昔と変わらないということの根拠が薄いなと思いました。これも調査対象に恣意性があるのではと思いました。

・イノベーションに対する考え方(手段ではなく目的と考えるべき)、職場環境に関する研究結果も違和感があります。(Chapter7 暗闇での歩き方)(Chapter8 目に見えるものと目に見えないもの)

・組織変革、オープンイノベーションの話は成功例があることは分かりますが、失敗の例の方が多そうです。特に組織変革(Chapter7 暗闇での歩き方)