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【良い戦略、悪い戦略】レポート

【良い戦略、悪い戦略】
リチャード・P・ルメルト (著), 村井 章子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532318092/

○この本をひと言でまとめると。

 シンプルで的を突いた「良い戦略」と、最初からそもそも的がないか、または的外れな「悪い戦略」について書いた本

○面白かったこと・考えたこと

・第7章はコッターの「企業変革力」、第8章はゴールドラットの「ザ・ゴール」、第9章はクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」の内容と似ているなと思いました。

・P.100~107の「成功すると考えたら成功する」の節で書かれている内容が、私が考えていたこと・感じていたことをまさにまとめてくれたかのような内容で、「よくぞ言ってくれた!」と思いました。
「プロテスタント流の個人主義⇒クリスチャン・サイエンス⇒ニューソート運動⇒・・・⇒ロンダ・バーンの『ザ・シークレット』」の流れは初めて知りましたが、最後の「ザ・シークレット」の「引き寄せの法則」はいろいろな人から説明されるたびに強烈な違和感を感じていました。

・P.37~44のウォルマートの事例で、ケーススタディの進め方などが非常に有意義そうで私も受講してみたいなと思いました。
P.42のウォルトンが業界の常識を「打ち破った」ことの問いかけと、それに自分で気付けない学生というのはなかなか意味深だなと思いました。

・第3章の悪い戦略の4つの特徴(空疎である、重大な問題に取り組まない、目標と戦略をとりちがえている、まちがった戦略目標を掲げる)と、第5章の良い戦略の基本構造(診断、基本方針、行動)はとても整理されていて分かりすいなと思いました。

第8章

・「ザ・ゴール」では「鎖構造の最弱点を発見⇒改善⇒次に最弱点になった点を発見・・・」という逐次的なプロセスが書かれていましたが、最初に鎖構造全体を設計することで強みにするという考え方はなかったと思い、目新しかったです。

第9章

・戦略を「選択」や「意思決定」でなく「設計」と考えるという考え方は、点ではなく流れで考えていて有効だと思いました。
ハンニバルや著者のNASAでの経験の例も適切で良いなと思いました。

第10章、第11章

・クラウン・コルク&シールの後継者も自社の強みを理解できずにM&Aによる拡大に走って失敗したところを、どこにフォーカスしているか、という観点から見抜いているのはすごいなと思いました。
選択と集中がこの本全体のメインテーマなので、かなり力を入れて書かれているなと思いました。

第12章

・技術力に優れたスタートアップ企業が布地の素材を開発して、自分たちがアパレルメーカーになると燃えたぎっているところに、「あなたたちが出場しようとしているのはゴリラとのレスリングなの」と伝えて頭を冷まさせたベンチャー投資会社のスーザン女史のセンスが素晴らしいなと思いました。

第13章

・「うねり」を感じ取ってそれに対応すべきこと、「うねり」を察知するためのヒント(固定費の増加、規制緩和、将来予想におけるバイアス、既存企業の反応、収束状態)はかなり重要なことだと思います。
実際に感じ取って対応することは困難ですが、企業成長はもちろん、存続のためにも必要だと思います。

第14章

・組織の慣性の話はいろいろな本で載っていますが、エントロピー(放っておけばエネルギーが膨張・拡散し、全体がぼやける)ということと、組織のメンテナンスの必要性を関連づけているのは面白いなと思いました。

第16章

・戦略と科学的仮説は同じようなもので、検討段階において、最初から完全な戦略を打ち出そうとするのではなく、仮説として意見を出し合い、その上で検証するという考え方はなるほどなと思いました。

第17章

・戦略を「第一感」で考えることの危険性はなるほどなと思いました。
「第一感」が正しいときも多いでしょうが、それを信用しすぎること、縛られることの弊害の方が多いように思います。

第18章

・自分の判断を貫くことが最後の章で述べられていましたが、これまでの章に従って戦略を構築できても最後にぶれては意味がないということを著者は伝えたかったのかなと思いました。

・判断を株価や現状に依存しすぎること、内部者の視点(他の人がひどい目にあっても自分は違う的判断)などの弊害が伝わってきて、冷静でいること、客観的でいることは特に戦略構築・実行においては重要だなと思いました。

○つっこみどころ

・P.61~のハーベスターのCEOのマッカーデル氏など、ところどころで実名を出して堂々と「悪い戦略の特徴」の例と出していて、自分のコンサルティング先のクライアントの失敗なども書いていて、守秘義務や立場上の不利益などにひっかからないかが他人事ながら心配になりました。

・「著者が良い戦略について語る⇒相手は拒否する⇒著者が諦める⇒後で著者の語った通りだったことが判明する」というパターンが何度も出てきますが、これは著者のコンサルタントとしてのプレゼン力のなさを証明しているような気がします。

・第15章のNVIDIAの事例は第6章から第14章までのすべての強みをまとめると書き出されていますが、フォーカス・優位性・うねりを感じ取ることなどは書かれていますが、それ以外はほとんど触れられていないように感じました。