【ゼミナール 現代日本政治】第Ⅱ部レポート

【ゼミナール 現代日本政治】
佐々木 毅 (著), 清水 真人 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532134072/

○この本の第Ⅱ部を一言で表すと? 

 政治をいろいろな要素に分解して各要素の専門家が個別に分析した内容

○興味深かった点

第1章

・知らなかった、もしくは知識があいまいだった制度改革の流れをある程度理解できました。
 三公社の民営化、選挙制度改革(中選挙区制⇒小選挙区制)、地方制度改革(機関委任事務廃止による地方分権化推進、平成の大合併)、中央省庁再編、金融改革(不良債権処理など)、郵政民営化

第2章

・なんとなく聞きかじっていた政党の興亡について整理できました。
特に小沢氏の動きが面白いと思いました(自民党内で派閥の移動・設立⇒新生党⇒新進党⇒自由党⇒民主党)。

・自民党の派閥と党内グループの違いや意思決定プロセスの違い、ヨーロッパの政党との違いも興味深いです。

第3章

・自民党の55年体制時代では首相選任はリーダーを選ぶのではなくそういうポストに就く人を自民党から選ぶ儀式だったというのは、学生時代に習った三権分立の考え方からずれているなと思いました。

・予算の決議と法案の決議のプロセスが異なることは知っていましたが、それが予算承認と予算関連法案承認の違いに繋がり、「ねじれ」国会による実行プロセスの停滞に繋がっているというのは根が深い話だなと思いました。

第4章

・「官僚内閣制」「省庁代表制」や「族議員」による利益誘導のインセンティブなどの話が整理されていてなかなか勉強になりました。
自民党からの政権交代から官僚スキャンダルが「発見」されるようになったり、いろいろな因果関係が絡んでいるなと思いました。
中選挙区制から小選挙区制に変えることで利益誘導のインセンティブが下がり、それから政官の関係も変わるというのはいろいろ全体像を知らないと理解できないものだなと思いました。

・橋本行革による省庁再編については別の本で省庁の数は減ったものの、官僚幹部のポストの数は減らず、逆に官僚の力が強くなったと書かれていて、この章の内容とも一致しているなと思いました。

・小泉氏の動きにより自民党が圧勝できたものの、それまで有効だった派閥制度等を崩しての勝利だったので後の自民党政権敗退に繋がったという話は、何年先まで想定して動くかによって得られる結果の違いについて考えさせられました。

・「政治主導」と「政治家主導」の違いについて私はあまり意識しておらず混同していましたが、「政治主導」は政治家自身が業務をこなすことではなく、必要なグランドデザイン考案や官僚の業務の点検機能を果たすことだという話は「そりゃそうだ」と納得しました。

第5章

・選挙システムの変更により選挙行動が異なること、政党支持の流動化、政策争点と政党の関係(やさしい争点へのバイアス)、「業績」とそれに反応する層の関係、衆議院と参議院の選挙行動の違い(前者は政権選択、後者は意見表明)などいろいろな話が統計に基づいて書かれていて面白かったです。

第6章

・戦後から現代に至るまでの金融や経済と国際情勢との関係が時系列で書かれていて勉強になりました。
日経新聞の切り抜きがちょこちょこ載せられているのも臨場感があって良かったです。

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