【能力はどのように遺伝するのか】レポート

【能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ】
安藤 寿康 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/406532405X/

○この本を一言で表すと?

 行動遺伝学の観点で遺伝の人間への影響について述べた本

○よかったところ、気になったところ

・双生児研究によって導き出された行動遺伝学の所見について述べられた本でした。
以前読んだ本で「双生児研究で遺伝を語るのは研究として破綻している」という内容があり、結構疑いながら読みましたが、それなりに説得力のある内容だったのではないかなと思えました。

・身体的特徴以外の、知能や精神、性格などまで遺伝の要因が大きいというのは興味深いなと思いました。
勤勉性、努力できるかどうかまで遺伝に左右されるというのが個人的にショックでした。

・国や文化圏によって遺伝説明率などの結論が変わるというのは興味深いなと思いました。
どの遺伝子がどのような効力を持っているか等がわかっていればそうはならない気がしますが、まだほとんど遺伝子の効力がわかっていない中で、実験結果を分析して結論を出す行動遺伝学ならではの事情かなと思いました。

○つっこみどころ

・一卵性双生児と二卵性双生児の実験結果から、遺伝・共有環境・非共有環境の3要因に分け、一卵性双生児と二卵性双生児の差異をすべて遺伝要素によるものと考えるというのは他に考えられる可能性をいろいろ切り捨てて単純化し過ぎであるように思えました。
双生児研究だけでなく、遺伝子の差異で検証した分析などができるようになると結論が変わってきそうに思えました。

・著者自身の研究分野である行動遺伝学の知見を過大視している印象を受けました。
実験結果の紹介や分析などの客観的な記述は良かったですが、そこから著者自身の考察を述べるところは微妙に思うところが結構ありました。

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