• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【進化のなぜを解明する】レポート

【進化のなぜを解明する】
ジェリー・A・コイン (著) , 塩原通緒 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822284204/

○この本を一言で表すと?

 ダーウィンを信奉している人の「種の起源」追補版

○よかった点

・ダーウィンがまだ検証が難しいと言っていた点(移行種の不在、ミッシング・リンクの未発見、偶然にしては完璧すぎる器官、など)について現在までに見つかった化石や実験結果などから証明して裏付けているところがすごいなと思いました。

第2章 岩石に書かれた証拠

・ある二つの種が祖先を辿れば行きあたる単一の種(ミッシング・リンク)は化石が残されていて発見される可能性がほとんどない状態で、それ自体を発見するのではなく、共通系統を証明する近縁種を探すことによってミッシング・リンクを証明するというやり方は、取り得る手段を駆使して物事を達成する学者のすごさを感じました。

・進化論を前提に、ある種とある種の間に存在すると考えられる種の年代や形状を推定して発見していく手法が実際に功を奏しているところはすごいなと思いました。(3億8500万年前の両生類に近い魚類と3億6500万年前の魚類に近い両生類の間に中間性を表す種が見つかると見込んで3億7500万年前の地層からその中間種にあたるティクターリク・ロゼアエを発見)

・始祖鳥が爬虫類と鳥類の中間種・・・ではなく、羽毛恐竜シノルニトサウルス・ミレニイや後肢にも羽があったミクロラプトル・グイが鳥類の祖先というのは初めて知りました。
また、ティラノサウルスが属する獣脚類はみな羽毛が生えていたと考えられていた、というのはイメージとだいぶ違う気がします。

・クジラがブタやラクダなどの属する偶蹄目の種から進化したというのは何だか不思議な気がしました。

第3章 遺物–痕跡、胚、粗悪なデザイン

・隔世遺伝(ヒトにたまに尻尾が生えてくる、など)、死んだ遺伝子(発言しない偽遺伝子)、粗悪なデザイン(ヒトの反回神経:喉を動かす神経だがわざわざ胸部を通って1メートル近くの長さ)などが、徐々に進化していったことの証拠として取り上げられているのが面白いなと思いました。

第4章 生物の地理学

・海洋島(一度も大陸と繋がったことのない島)では陸生哺乳類、爬虫類、両生類、淡水魚類の在来種(大陸に存在する種、自力で大陸から渡れない種)がおらず、かといって在来種が住めない環境ではない(持ち込んだ在来種は繁殖可能だった)ということも進化論に繋げているのは面白いなと思いました。
これはダーウィンの「種の起源」でもあるていど書かれていたことです。

第5章 進化のエンジン

・自然淘汰や遺伝的浮動で相当に複雑な仕組みも起こり得るというのは面白いなと思いました。(ヨーロッパ産ミツバチになく日本産ミツバチだけが行うスズメバチ熱殺(囲んで熱死)、キツツキの衝撃緩衝の仕組み、保護色、バクテリアや最近の薬剤適応)
特に、バクテリアや最近の薬剤適応はよく聞く話ですが、まさにそれ自体が進化で、リアルタイムに進化は起こっているのだなと思うと面白いなと思いました。

第6章 性はいかにして進化を促すか

・性淘汰、性的二型で、オスが自身が生存するには邪魔な仕組み(綺麗な尾羽、飾り、モノを構築する習慣、激しい踊り、頭の10倍の重さの角、など)を持っていることが子孫を効率的に残すことに繋がるという論理立てが面白いなと思いました。
また、一夫一妻の鳥類が社会的配偶者を裏切るのが当たり前、という事実は確かに創造論者としては受け入れがたいだろうなと思いました。

第7章 種の起源

・外見から分類する「形態学的種概念」から、繁殖面で他グループと隔離された「生物学的種概念」、地理的に交わらないことで起こる「地理的種分化」、同じ一帯に生息する二つの異なる種の交配から始まる「異質倍数体の種分化」などへ発展していっていることが、ダーウィンの「種の起源」以降の進化論の発展が見ることができて面白いなと思いました。
また、実験室でショウジョウバエが1年以内で種として分化したり、20世紀に発生した種が確認されたり、いろいろな新しい発見があって興味深いなと思いました。

第8章 われわれヒトは?

・中学校の歴史の授業で習った「アウストラロピテクス」が「ホモ」と同じように属名であって種名でないことを初めて知りました。
チンパンジーとヒトのミッシング・リンクに近い「サヘラントロプス・チャデンシス」というのが見つかっているのも面白いなと思いました。

・ヒトとチンパンジーの遺伝子はほとんど同じと言う話は聞いたことがありましたが、その少しの違い(1.5パーセント)が大きな違いを生み出すことで全く違う種になっているということは初めて知りました。
チンパンジーの突然変異でヒトになることはないそうです。

第9章 進化ふたたび

・いくら科学的な証拠を並べても、進化論の結論に納得できない人がいるという話はなるほどと思いました。
進化論的帰結でヒトがサルと同じように本能的に振る舞うことが当たり前になる、という考えは極端だと思いますが、そういう考えに至る人がいてもおかしくないかなと思います。