【種の起源】レポート

【種の起源〈上〉】
チャールズ ダーウィン (著), 渡辺 政隆 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4334751903/

【種の起源〈下〉】
チャールズ ダーウィン (著), 渡辺 政隆 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4334751962/

○この本を一言で表すと?

 多分野に精通したダーウィンが人生のほとんどを費やして追求した研究の集大成

○よかった点

・ビーグル号で世界を就航した以後は英国を出なかったダーウィンが、友人を通じて情報の収集を進め、他人の研究などを参考にしながら理論だけをまとめるのではなく自分でいろいろ時間をかけて実験(河川地域の泥から植物が生えてくるか、水鳥の足に稚貝が付くか、など)しているところは、すごい行動力だなと思いました。
金と時間がある人が自分の好きなことを大いにやっているカンジで大変羨ましいです。

・ダーウィンの自然淘汰論の考え方は、他の種、特に近縁種との生存競争が厳しくなるという点でマイケル・ポーターの「競争の戦略」を、新たな環境ではそれに適応した新たな形質を獲得したものが生存優位となるという点でクレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を思い起こさせるような内容だなと思いました。
仮説を立てて検証して理論を構築するところや、物事の根本を徹底的に追求しようとする姿勢など、ダーウィンは軍事に携わっていたらイギリスの国家としての位置を変えていたように思いますし、企業経営に携わっていたらとんでもない大企業を作り上げていたように思いますし、そういった分野なら大成してイギリスの歴史を変えていた人物ではないかと思います。
ある意味それだけの能力を自分の興味の赴くままに学問の分野につぎ込んだからこそ、これだけの大著ができたのかと思うと感慨深いです。

・私自身が考えている進化論に対する疑問点がほとんど提起されていて面白いなと思いました。(移行種の不在、偶然にしては完璧すぎる器官、など)(第6章)

・リンネ(1707―1778)以降のナチュラリストの分類学が、自然とダーウィンの考え方と一致するようになっていたというのは面白いなと思いました。
動植物の各機能の一致や相同性から分類していった土台がダーウィン以前からあったのだと思うと、この頃のナチュラリストたちの活動もダーウィンの考え方に貢献していたのだろうなと思いました。(第13章)

○参考にならなかった所、または突っ込みどころ

・自分の立てた仮説・理論に固執して、それを立証するために研究結果等を無理やり結びつけているような印象を受けました。

・「移行種の不在」や「完璧すぎる器官」の問題は勝手に自己完結していて全く解消できていないと思いました。

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