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【赤軍ゲリラ・マニュアル】レポート

【赤軍ゲリラ・マニュアル】
レスター グラウ (著), マイケル グレス (著), 黒塚 江美 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4562048433/

○この本を一言で表すと?

 実際に使われていた実績のあるゲリラ向け本格派マニュアル

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・「戦略」や「戦術」の本は結構ありますが数人からなるチームの「戦闘」レベルの本というのは初めて読んだ気がします。

・序文がスターリンの演説になっていたことが意外で最初からインパクトがありました。

・ソ連が組織化させたパルチザンだけでなく敵であるナチスドイツの戦術や武器等について分析してあるのは「本気さ」が感じられ、実用的でもあるなと思いました。

・このマニュアルの意義について考えてみました。
全体として「失敗しないために注意しておくべきこと」に焦点が当たっているように思いました。
軍の力を「数×質」と考えると、質の底上げを狙っているものと思えました。
ゲリラのようにまとめて掃討することが難しい集団に、さらに生き延びるための方策を徹底的に身につけさせることで、敵対する者からすると「戦果を上げられない」というストレスも生みそうだと思いました。
このマニュアルだけをポンと渡されても何もできないかもしれませんが、ある程度習熟した者がこのマニュアルを使って教えることで、地方に分散してもある程度の戦力が見込めるようになりそうだと思いました。
こういったマニュアルの必要性を理解してパルチザンにその内容を広めること自体は十分に戦略的な話だと思いました。
軍隊の底上げをしたという意味で、毛沢東が人民軍に三大規律(①いっさいの行動は指揮に従う、②大衆のものは針一本も糸ひとすじも取らない、③いっさいの獲品は公のものとする)と八項注意(①言葉遣いはおだやかに、②売り買いは公正に、③借りたものは返す、④こわしたものは弁償する、⑤人をなぐったり罵ったりしない、⑥農作物を荒らさない、⑦婦人をからかわない、⑧捕虜をいじめない)を広めたことと、内容は全く違うものの共通点のようなものを感じました。

・武器の扱い、偵察、カムフラージュ、隠れ方、白兵戦、応急手当、行軍、野営、食料確保、雪中行軍など、必要なシチュエーション別で目的を達成し、生き延びる確率を向上させる術を学ばせるところは、人的資源を徹底的に有効活用してやろうという冷徹な意図を感じました。
雪中行軍についてだけでも、日本が日露戦争に備えて八甲田山で寒冷地での戦いに必要なことを洗い出そうとして青森歩兵第5連隊が210名中199名という死亡者を出し、その上成果を得ることができなかったことを考えるとすごく充実した内容だと思えます。

○つっこみどころ

・武器の部品の名称など、知らないことは全然知らないので理解できないことが結構多かったです。

・第3章~第15章は本当に個別具体的な「マニュアル」だったのでサラッと読み流してしまいました。赤軍ゲリラとしての心得や組織化のプロセスなどがしっかり書かれているものだと勝手に期待していましたが、本当に現場レベルのマニュアルでした。