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【ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢】レポート

【ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢】
ポール・アレン (著), 夏目 大 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062171287/

○この本を一言で表すと?

前半は「ポール・アレン成長期とマイクロソフト草創期」、後半は「ポール・アレンやりたい放題物語」

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・前半のマイクロソフト草創期の物語は、時勢を偶然と実力で掴んで、一時「マイクロソフト帝国」とまで言われた企業をつくり上げる話で、初期のコンピュータの状況なども詳しく知ることができて面白かったです。

・序盤の初期のコンピュータについて事例とともに詳しく説明されて面白かったですが、IT系に馴染みのない人は訳が分からないかもしれないなと思いました。

・ビル・ゲイツがポール・アレンに5:5ではなく6:4で分配をもちかけ、その後さらに自分の分配率を大きくするところなどは、損させられた者が書いていることを割り引いて考えてもセコイなと思いました。

・後半のポール・アレンがマイクロソフト株で大儲けしてそのお金で投資しまくっているところは「もし自分がお金を有り余るほど持っていたらこんな使い方をするかな」と思えるような面白い内容でした。

・ポール・アレンの夢見がちでいろいろな分野に手を出したい夢想家なところは、うまく何かと噛み合えば大きなことができそうで、その一つがマイクロソフトだったのかなと思いました。

第3章 ビル・ゲイツ、第4章 熱狂

・当時の初期のコンピュータにアクセスできる立場になった経緯、その仲間としてビル・ゲイツと知り合ったこと、一番熱中していたのがポール・アレンとビル・ゲイツだったこと、お金を節約しようとして不正アクセスしてバレたことなど、当時のITの最先端の状況が例としてわかって面白かったです。

第5章 ワシントン州立大学、第6章 2+2=4!、第7章 MITS、第8章 パートナー

・インテルのマイクロプロセッサ8008のエミュレータを作ったことが、MITSのエド・ロバーツに8080でBASICを動かすことを売り込むことになり、それに成功させることに繋がった話は、偶然に偶然を重ねたような話だなと思いました。
BASICが「2+2=4」と答えを出したことの感動はよく分かる気がしました。
MITSがパーテック社にマイクロソフトのソースコードに対する権利を売却し、その専売権を主張されて訴訟になったことも、もしマイクロソフト側が負けていたらその次に繋げることができず、Windowsも存在していなかったかもしれないなと思うと、後から見た歴史は運命的に見えるものだなと思いました。
MITSが販売している「アルテア」を改造する集まりにスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが参加していたことを考えると、当時のITに関わるものからすると必然的な流れかもしれないですが、運命的なものを感じました。

第9章 ソフトカード、第10章 プロジェクト・チェス、第11章 軋轢

・インテル8080以外でもマイクロソフトのプログラムを動かすことができるソフトカードで、アップルのPCでも当時出ていたアプリケーションを利用できるようにしたことは、その後のMS-DOSに繋がる橋のようなものだと思いました。

・SCP社のCP/Mが間に合わなかったためにIBMでMS-DOSが採用されることになり、それがマイクロソフト全盛期に繋がるというのもなかなか興味深い流れだなと思いました。

第12章 モーニングコール

・ポール・アレンが病気になり、あまり動けなくなったところで立場が悪化し、決定的にビル・ゲイツと決裂するところは今のベンチャー企業でもありそうな話だなと思いました。

第13章 訴訟

・マイクロソフトが訴訟を受けて長く争っていたことは知っていましたが、どういった状況だったのかが分かって興味深かったです。
その後のマイクロソフトが最新動向を後追いする形になっていたことを非難しているのは離れたものの気楽さかなとも思いました。

第14章 ブレイザーマニア、第15章 十二人目の選手

・NBAの球団とNFLの球団を買い取って、人任せで苦労し、出費が嵩みながら何とかなっていった流れは金持ちの道楽感がありますが、それでもぐらつかない資産をマイクロソフト株で稼いでいたというのは羨ましい気もしました。

第16章 宇宙旅行

・ポール・アレンが一緒にXプライズを目指したスケールド・コンポジッツのバート・ルータンの話はクリス・アンダーソンの「MAKERS」にも載っていた話で、MAKERSに書いてあった話よりも詳しく書かれていて、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンが協賛していたことや、実際にチャレンジしたときの様子や、その後人命を失う失敗をしてバート・ルータンがセミリタイアしたという話まで書かれていて興味深かったです。

第17章 ジミ・ヘンドリックス、第18章 ワイヤード・ワールド、第19章 ファットパイプ、第20章 地球外生命体と人工知能、第21章 脳の地図を作る、第22章 冒険

・ポール・アレンが音楽にチャレンジし、ネットワークの重要性に気付いてケーブルテレビ会社買収に挑んで失敗し、SETIにも投資し、脳の地図を作る団体を作って医療関係者も重要だとみなすデータベースを開発し、いろいろな所へ冒険し、また病気が再発し、と様々な挑戦を繰り返し、時折挫折し、あるいはある程度うまくいき、更に挑戦を続けるところは面白い人物だなと思いますし、今後どんなことをやり遂げていくのか楽しみでもあるなと思いました。

○つっこみどころ

・若干翻訳に違和感がありました。特に前半。同じ翻訳者の「facebook」も違和感がありましたが、「こういう話の流れだと普通こうだろう」というところが直訳のままだからかなと思います。

・邦題はこの本の前半しか表しておらず、売れそうなタイトルを付けたのだろうなと思いました。

・ビル・ゲイツへの評価はポール・アレンの「ビル・ゲイツにマイクロソフトを追われた者」という立ち位置を割り引いて読まないといけないなと思いました。ビル・ゲイツ以外のポール・アレン評を知りたいなと思いました。

・後半のポール・アレンの投資状況は採算度外視でそれほど行動力も見せておらず、「お金はあるけれど商才がない男」といった印象でした。
そういった失敗を赤裸々に書き、それでも挑戦を続けていけているのはすごいと思いますが。