• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【米中もし戦わば】レポート

【米中もし戦わば】
ピーター ナヴァロ (著), 赤根 洋子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4163905677/

○この本を一言で表すと?

 中国の軍事面での行動と今後の予測についての推理を重ねた本

○面白かったこと・考えたこと

・ トランプ暴露本「FEAR」で一番謎の人物だったカリフォルニア大学の経済学教授で貿易赤字反対派のピーター・ナヴァロでしたが、そのピーター・ナヴァロが書いた本ということでかなり気になっていた本でした。
経済学的な観点は地政学の観点の極一部としてしか出てきませんでしたが、思ったよりまともな考察で驚きました。貿易赤字反対というより、中国の経済発展が即軍事力に繋がっていて、アメリカの経済力を削いでいる一面もあるため、中国との貿易をブロックするという方向で考えているのかなと思いました。

第一部 中国は何を狙っているのか?

・中国が領域拡大を狙っていること、軍事的に拡大していること、アメリカとの対立が今後も激化していくであろうことが述べられていました。

第二部 どれだけの軍事力を持っているのか?

・中国の軍事力について様々な観点で述べていました。軍事費はアメリカより少ないものの、人件費や製造コストが低いことからかなりの投資がされていて、日本本土・沖縄・台湾・フィリピン・ボルネオ島を繋ぐ第一列島線、本州の中ほど・グアム・パプアニューギニアを繋ぐ第二列島線を越え、アメリカを排除したいと考えていること、アメリカでも実装できていない移動中の空母を狙える対艦弾道ミサイル「空母キラー」を備えていること、「地下の万里の長城」として、全長5000キロの地下を自由に移動できるミサイル発射施設を備えていること、通常型ミサイルの総数はアメリカを超えていること、機雷や原子力潜水艦を備えていること、1995~1996年の第三次台湾海峡危機でアメリカの制海権・制空権に屈した後にスパイ活動により技術を入手して最新型の戦闘機等の開発が進んでいること、宇宙でのミサイル実験など、衛星ネットワークを無力化する手段を備えようとしていること、サイバー戦争に注力していること、国際世論操作の「三戦」で心理戦・メディア戦・法律戦を繰り広げていることなど、様々なことが挙げられていました。

第三部 引き金となるのはどこか?

・中国とアメリカの対立の引き金を引く要因として周辺諸国の事情がそれぞれ述べられていました。台湾、北朝鮮、日本、ベトナム、フィリピン、インド等、近隣のほぼどの地域でもトラブルの種があり、ロシアと接近して中露同盟の可能性もみられるそうです。

第四部 戦場では何が起きるのか?

・アメリカと中国が実際に戦うとどうなるか、シミュレーションの内容が述べられていました。質で勝るアメリカは量で勝る中国にかなり押されるようです。
少なくともアジア地域では不利だと述べられていました。中国本土への攻撃を志向する「エアシーバトル」戦略と広範囲な海上封鎖を志向する「オフショア・コントロール」戦略があるそうですが、前者では中国の戦力を短期的に壊滅させられる可能性が低く、後者ではその影響を与えるまでに時間がかかり、実現自体が困難なのだそうです。短期決戦で終わる可能性はほとんどなく、戦争になればかなり長引く見込みだそうです。

第五部 交渉の余地はあるのか?

・交渉による平和的解決が可能かどうか検討されていました。米軍がアジアから撤退すること、台湾を見捨てることなどはアメリカにとって大きく不利に働き、中国の経済成長や貿易拡大は中国の軍事力に大きく貢献しており、核抑止力や約束事も無視される可能性が高く、交渉による解決はかなり困難だという結論になっていました。

第六部 力による平和への道

・結論として、中国よりも圧倒的に力をつけることで中国に戦争を挑む気をなくさせること、現在の中国の経済成長がアメリカからの収奪によるものであるとして、更に中国に対して自主規制をせざるを得ないようなテレビ・映画等もあるとして、中国の影響を弱める必要があることが述べられていました。

○つっこみどころ

・全45章の冒頭の質問が誘導的で、選択させているように見せながら選択肢外の回答を潰し、著者の結論に誘導するようなっていて、もうちょっとオープンクエスチョンになって考えさせられるような内容でもよかったのではと思いました。
トランプ大統領にもこんなカンジで質問を浴びせて誘導したりしているのだろうか、と考えたりもしました。