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【リバース・イノベーション】レポート

【リバース・イノベーション】
ビジャイ・ゴビンダラジャン (著), クリス・トリンブル (著), 渡部 典子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478021651/

○この本を一言で表すと?

 新興国におけるイノベーションと、そのイノベーションの先進国での適応事例の本

○この本を読んで興味深かった点

・他のBOP関係の本だと、大企業が新興国でビジネスを展開するところで止まっているか、非営利団体が展開する話が多かったですが、この本では大企業が大企業のメリットも活かしつつ、現地のリソースも活かしつつ、イノベーションを起こしていくというエピソードがほとんどでした。
イノベーションを起こしていくプロセス自体もよかったですが、イノベーションの障害となる「支配的論理」を打破していく企業革新のプロセスもよかったです。

・第2章で書かれていた5つのギャップ「性能」「インフラ」「持続可能性」「規制」「好み」は確かに富裕国間でもありそうですし、富裕国と貧困国の間のギャップはかなり大きそうだと思いました。

・第3章で書かれていたリバース・イノベーションへのCEOがとるべき三つのステップ「組織の重心を新興国市場へ移す」「新興国市場の知識と専門性を深める」「個人としてはっきりと目に見える象徴的な行動をとる」というのは、企業における内部への注意と取り組みが必要になるという意味で、組織改革も必要になるのだなと思いました。

・第4章で書かれていたLGT(ローカル・グロース・チーム)が、「白紙の状態で設計すること」「グローバル組織と関係を持ち、その資源を活用できるようにすること」「統制のとれたやり方で実験を行うこと」が必要であるというのは、第2部で紹介されている各企業・組織でそれぞれLGTが作られ、必要な配慮がなされることで新興国の企業に現地で負けていた状態から立て直したりしていることで裏付けられているなと思いました。

・第1部の最後でまとめられている「リバース・イノベーション戦略の9つの重要ポイント」は、第2部で紹介されている企業・組織の事例を読んだ後で見返してみると、この本全体で伝えたいポイントがうまくまとめられているなと思いました。

・第2部で紹介されている、「PC周辺機器のロジテック」「生活用品のP&G」「ストレージのEMC」「農業機械のディア」「カー・オーディオ機器のハーマン」「医療機器のGEヘルスケア」「菓子のペプシコ」「地域保健医療のパートナーズ・イン・ヘルス」の各事例は、パートナーズ・イン・ヘルスの事例以外は全て大企業における事例でしたが、大企業としてのリソースを活かすというところ以外は他のBOP関係の本と同じようなことがここでも書かれていました。
現地のニーズを深く知ること、その解決策を既存のアイデアに頼らず一から考えることで、解決できる問題の大きさはすごいなと思いました。

・付録Aと付録Bが、いろいろ考えさせるツールになっていて興味深かったです。
付録Bの最後と解説に書かれていた戦後の日本が先進国に進出できた事例とここで紹介されているリバース・イノベーションの違い、日本企業のリバース・イノベーションからの遠さは、この分野での日本企業の遅れの深刻さに考えさせられます。

○つっこみどころ

・邦題の副題「新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき」は、この本の内容に何も関係なかったです。
基本的には世界有数の企業が新興国向けに特化した戦略を実施した話でした。
「リバース・イノベーション」だけだと知らない人は手に取らないと思ったのかもしれませんが、もう少し本の内容に合った副題をつけられなかったものでしょうか。

・「先進国」「富裕国」や、「途上国」「新興国」「貧困国」、漢数字とアラビア数字など、書き方の統一が同じページ内でもされていないケースが多かったです。