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【モンゴルを知るための65章【第2版】】レポート

【モンゴルを知るための65章【第2版】】
金岡 秀郎 (著, 編集)
https://www.amazon.co.jp/dp/475033622X/

○この本を一言で表すと?

 モンゴルの国土と文化と通史について触れた本

○この本を読んで面白かった点・考えた点

・モンゴルの国土や、現地の感覚、文化や歴史など、現代モンゴルに至る背景を知ることができることができました。

Ⅰ モンゴルはどんな国

・モンゴル民族の分布状況で、中国だけでなくロシアにも分布していること、モンゴル民族がいくつかの部族に分かれ、異なった地域に分布していることを知ることができました。

・地理的に気候が厳しそうだと思っていましたが、年較差が90度になるなど、酷暑・酷寒に見舞われる土地というのは想像以上に厳しい地域だなと思いました。
首都のウランバートルでも冬に零下20~30度になるのは大変だと思いました。

・乾燥と寒冷が重なると静電気が起きやすく、しょっちゅうバチバチとなるのは考えてみればそうだろうなと思いますが、苦手な人は大変だろうなとも思いました。

・草地率が世界一というのはモンゴルのイメージそのままだなと思いました。

Ⅱ 牧畜生活と思考・言語・宗教

・国境に対する考え方で、モンゴル側から見れば万里の長城は中国がそこまで侵略してきたという見方になるというのは、当然ですが新鮮だなと思いました。

・狩猟から遊牧に生活を移行することでかなりの生活の安定が図られたというのは、他の国では農業がその位置づけにありますが、これもまた正しいのだろうなと思いました。

・中国の内モンゴル自治区で農業が行われて砂漠化されていることとモンゴル共和国が今も草原の国となっていることとの対比で、「農業が人類最初の自然破壊」という言葉に説得力が出るなと思いました。

・肉食文化と仏教文化の折り合いで、人々に利益をもたらすための殺生は罪ではなく悟りだとすること、殺した生物の苦しみは殺生の実行者だけでなく、すべての肉食者が負うべきである、というのはなかなか腑に落ちる考え方だなと思いました。

・モンゴル語やその属する語族などの説明がありましたが、やはりその生活によく関わってくる場面での語彙が多くなるというのはどの言語でも共通なのだなと改めて思いました。

・敷居の内と外で世界が異なるとしているのは日本でもある習慣でその共通点が興味深いなと思いました。

・現代においても狼が脅威で、かつ狼に畏敬を払っているというのはいかにもイメージ通りのモンゴルという気がしました。

Ⅲ 起源から現代まで

・モンゴル帝国以前のモンゴル、モンゴル帝国の盛衰など、チンギス・ハンやフビライ・ハンなどの有名な人物や時代については知っていましたが、それ以外の時代について詳しく通史として書かれていて、どのような経緯で現代まで繋がっているのかがようやく理解できたように思いました。

・内モンゴルのフフホトやモンゴル共和国の首都ウランバートルの設立経緯を初めて知りました。
特にウランバートルがモンゴル仏教界の最高権威ジェプツォンダンバ活仏一世の門前町フレーとして建設され、それから共産化したのちに「赤い英雄」という意味のウランバートルになったという経緯は初めて知りました。

・北モンゴルが独立に成功したことと、南モンゴルが独立に失敗して中国の自治区になったことの大きな差異が面白いなと思いました。
北モンゴルがソ連に近付いて日本と敵対したこと、南モンゴルが日本と協力したことがその境目だったというのは、当時の状況が変わればまた違っていたのだろうなと自国だけでなく他国の情勢が大きくかかわる時代にありがちな選択肢とその結果だなと思いました。

・ノモンハン事件でソ連とモンゴルの連合軍に日本が撃退されたことは知っていましたが、その経緯がよく分かっていませんでした。
こういった経緯でモンゴルはソ連側についていたのかと初めて理解できました。

・日本人抑留はソ連だけかと思っていましたが、そのソ連の属国格のモンゴルにも存在していたというのは経緯からすると当然かと思えました。
その後、日本とモンゴル間でその解決が行われたのは、中国や韓国との経緯と比べても対照的だなと思いました。

・文革で内モンゴルの知識人も弾圧され、かなりひどい虐待や虐殺をされていたというのは初めて知りました。

○つっこみどころ

・現代の政治体制や経済についてほとんど触れられていなかったので、今のモンゴルがどのようになっているのかはわかりませんでした。
やはり明石書店の「○○を知るための○章」シリーズで、一人で書いた本は内容が偏り過ぎているなと実感しました。

・2012年に第2版が出たので最新情報を期待して購入しましたが、2000年に出版された初版からあまり更新されていないようでした。

・ところどころ、中国に対する嫌悪感情がみられる文章がありましたが、モンゴルを研究している人として同調しているのか、元々こういう人なのか、どちらだろうかと思いました。
そのせいで少し偏った内容になっています。

・ところどころで著者の自著の宣伝を挟んでいました。