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【日本はスウェーデンになるべきか】レポート

【日本はスウェーデンになるべきか】
高岡 望 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569792472/

○この本を一言で表すと?

 スウェーデン公使からみた詳細なスウェーデン分析の本

○この本を読んで面白かった点

・いろいろ読んだ北欧を取り扱った新書の中で一番丁寧に分析されていて、中身が濃い本で本当にいい本だと思いました。

第1章 スウェーデンという国

・スウェーデンの首都ストックホルムに「スカンジナビア(スウェーデン・ノルウェー・デンマーク)の首都」という看板を立てているのは面白いなと思いました。

・冬の日照時間の短さ、2009年11月の合計日照時間約17時間というのはすごいなと思いました。

・スウェーデンがノーベル賞の授賞式のために受賞者の母国語が話せる担当官を必ず用意し、日本人が受賞される時は日本大使館から臨時で人を呼んでくるという徹底ぶりはすごいなと思いました。

第2章 スウェーデンの本質

・スウェーデンの内気な国民性、周りに合せようとする感覚が日本人に似ているというのは面白いなと思いました。
しかし、スウェーデン人の4つの本質「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」というのは日本とは全く異なり、優れている面だなと思いました。

・「自立した強い個人」について、スウェーデンでは女性も高齢者もみな力強く生きていて、「Do it yourself」の精神で基本的に自分でやる、イケアで家具を頼んだら配達員が購入者に手伝わせるという精神はこれもたくましいなと思いました。

・「規則に基づく組織力」について、日本人と比べても決まり事を守ることは徹底していて、路上駐車も除雪車や他者の迷惑になる時間帯には必ず移動されるという秩序があり、決まり事を守れない者が軽蔑され通報されるというのも凄いなと思いました。

・「透明性」について、1776年に出版自由法によって出版物の検閲が禁止され、公文書の公開も義務付けられるなどの下地があり、政治家が少し高め(でも庶民でも手が出るくらい)のトブレローネというチョコレートを公費で購入されたことが公表されたことで政界からの引退を余儀なくされるくらいというのは徹底しているなと思いました。
個人認証番号の制度が導入されて、あらゆる面で使用され、その運用される範囲も細かく知らされるなどのやり方はこれから導入しようという国の参考になりそうだなと思いました。

・カーテンを閉め切っている家が不自然という感覚があり、外から見えるところで夫婦喧嘩をやっていて、外から見えないところに場所を移した途端に通報されたという話もこの透明性が家庭にも意識されているという例で面白かったです。

「連帯」について、国内だけでなく海外についてもその意識が強く、国家予算における対外援助の予算が日本に比べて5倍の比率であったり、人口当たりの国際養子縁組率が世界一高かったり、その連帯精神もすごいなと思いました。

第3章 世界一男女平等な国

・政治においても国会議員の女性比率が40%を超えていたり、横断歩道の標識が男性であることに非難がでたり、専業主婦率が2%であったり、育児休暇制度で男性が利用しないといけない最低日数が定められていることで男性が育児に参加することのインセンティブが保たれていたりと、男女平等への推進力がすごいなと思いました。

・スウェーデンの女性の社会進出はバイキングの時代からその傾向があったこと、労働力不足に対して日本では男性が猛烈に働くことを選択しスウェーデンでは女性が進出することを選択したことなどの要因分析も面白いなと思いました。

第4章 手厚い社会保障の裏に

・スウェーデンでは子供との同居率が4%で、親が子どもに面倒を見てもらいたくないと考え、高齢者のほとんどが老人ホームではなく自宅で過ごすことを選択し、その考えが尊重される社会制度になっているというのはすごいなと思いました。
日本の介護の実態が対比的な例として挙げられ、その差が際立って見えました。

・年金制度改革について、1984年から長い年月をかけて検討、準備が進められ、1998年に年金制度改革法案が国会で採決され、2001年から施行されたというのは継続的に重要な課題について取り組めること、そして結果を出せることという面ですごいなと思いました。
その成功要因として「政党間で丁寧にコンセンサスを形成」「国民の勤労意欲を高める制度に設計」「年次年金報告書などにより国民に分かりやすく説明する姿勢」「自分が働いた成果が目に見えるように反映される誇りを持って参加できる制度設計」「国民に我慢してもらうという思想」が挙げられていましたが、かなり理想的な要因で、理想的なプロセスを経たのだなと思いました。

・スウェーデンの医療制度で医療施設が地区診療所、ランスティング(日本の都道府県に該当)の地域病院、全国に8ヶ所の広域病院の3つに分けられ、軽い症状の者が我慢させられ、重い症状の者が手厚い医療を受けられる仕組みになっているのは合理的で納得性のある制度だなと思いました。

・新型インフルエンザ騒動への対応でも、スウェーデンでは迅速に意思決定してワクチンの接種までを効率的に進めたのに対し、日本では意見調整をしている間に騒動が収束しかけていたという違いがあり、その比較された差で、もし新型インフルエンザが悪性だったら日本はどうなっていたのだろうかという懸念をひしひしと感じさせられました。

第5章 競争力強化のために

・日本やアメリカ、中国の企業がスウェーデン企業を買収し、競争力を高めていったこと、スウェーデン企業の強みとして「産業構造転換時期を逃さないこと」「国全体で研究投資を進め、基礎研究分野を国家が担っていること」などが挙げられていて、国家として設計された体制の強みを感じました。

・同一労働同一賃金を進める連帯賃金政策、失業者の訓練に注力され転職が容易な積極的労働市場政策、これらに支えられる企業の雇用・解雇を制限しない政策、などで国際的にも競争力を強めているというのも興味深いなと思いました。

第6章 中立、EU、価値の外交

・外交政策において中立を基本としながら必要であればそれを崩しながらの積極的外交政策を繰り広げ、第二次世界大戦における中立、NATO非加盟、EU加盟などの自立した選択を行ってきたスウェーデンの外交力はすごいなと思いました。