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【ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」】レポート

【ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」】
伊藤 章治 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/412101930X/

○この本を一言で表すと?

 半分が日本の話のジャガイモの世界史の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・ジャガイモ自体の影響ではなく、ジャガイモも絡んでいたという程度の歴史が並べられている本でした。

第一章 オホーツク海のジャガイモ

・明治時代に栃木の足尾銅山の郊外の影響で住めなくなった人たちが北海道のオホーツク海沿岸に移住し、ジャガイモが育ったおかげで助かったエピソードが述べられていました。

第二章 ティティカカ湖のほとりで

・富士山よりも高い標高にあるティティカカ湖のほとりの高原地帯がジャガイモの発祥の地で、数多くの野生種が今でも存在していることが述べられていました。

・ジャガイモの水分を抜いて数日間放置して作るチューニョが10年近く保存できる加工品で、インカ帝国時代から作られていたそうです。

第三章 ペルー発旧大陸行き

・寒冷地でも栽培可能なジャガイモがヨーロッパに流通し、伝播するにはかなりの時間がかかったそうです。

・アダム・スミスが「国富論」で同じ面積でジャガイモは小麦の三倍の収穫量がある、と書いていたのが印象的でした。

第四章 地獄を見た島

・イギリスの過酷な収奪に晒されるアイルランドで、ジャガイモの栽培が食いつなぐ術になり、人口増の原因にもなるほど定着した後で、ジャガイモ疫病によりジャガイモの生産量が激減し、人口800万人の国で、餓死と移民でそれぞれ100万人規模になるほどだったというのは凄まじい被害だったのだなと思いました。

第五章 絶対王政とジャガイモ

・収穫量が多く、栄養価の高いジャガイモがなかなか広まらず、プロイセン・フランス・ロシアのそれぞれトップダウンで広めたというのは興味深いなと思いました。

・強制的だったプロイセンとロシアに対して、フランスのパルマンティエのような大事なものと思わせるような警備をして盗ませることで広める、というのはそれだけが要因かどうかはともかく、ジャガイモに対する偏見を打破する手段としては洗練されているなと思いました。

第六章 産業革命と「貧者のパン」

・ヨーロッパと日本の産業革命における民衆の生活レベルについて述べられ、その中にジャガイモの購入・支給が含まれていたことが書かれていました。

第七章 現代史のなかのジャガイモ、暮らしのなかのジャガイモ

・第二次世界大戦中の食糧不足に対し、ドイツでは市民農園を奨励し、ロシアでは森林の開拓を奨励して育てやすいジャガイモを育てさせていた、というのは合理的で興味深いなと思いました。

第八章 日本におけるジャガイモ

・日本の東北地方や満州などでジャガイモの栽培が生きていくための手段になっていたことが書かれていました。

・日本での品種別ジャガイモ生産量1位の「男爵」が、男爵家を継いだ川田龍吉がスコットランドに留学した時に食べていたアイリッシュ・コブラ―という品種が基になっていること、それにまつわる話は面白いなと思いました。

・品種別生産量1位、2位は男爵とメークインだと思っていましたが、2位がデンプン原料用のコナフブキでメークインは3位だということは初めて知りました。

○つっこみどころ

・半分ほど日本の話で、世界史というほど網羅されておらず、ジャガイモの話がおまけにしかなっていないところもあって、「ジャガイモの世界史」というタイトルはふさわしくない本だと思えました。

・帯に「食い改めよ!」と大きな字で書かれていましたが、この本を読んでジャガイモに対する意識が変わるほどのインパクトはありませんでした。