
【物語 エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで】
笈川 博一 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121020677/
○この本を一言で表すと?
現地体験も含んだエルサレムの歴史紹介の本
○よかったところ、気になったところ
・東京教育大学で大学院まで出たあとでヘブライ大学に留学してその講師まで務め、イスラエルの居住歴が長い人が著者で、既存の研究へのツッコミや現地ネタが面白かったです。
・普段ユダヤ教の教義に即した生活を送っていないユダヤ人も、聖地エルサレムにくると安息日の禁止行為などを急に守りだすそうです。
・聖書の「よきサマリア人」の記述で有名なサマリア人についてのコラムが興味深かったです。
モーセ五書のみを聖典としていて、ユダヤ人と違ってサマリア人に改宗する方法がなかったために第一次世界大戦後には150人程度しか残っておらず、イスラエル建国後に改宗方法を定め、ユダヤ人とパレスチナ人を仲介する立ち位置で700人以上に増えたそうです。
・安息日に生命の危険に対応する事をやってもいいかどうか、ということは紀元前にシリアのセレウコス朝との戦いで「安息日だから戦争もその準備もしない」という人たちが多数いて戦う前に敗北しそうになり、「生命の危険は安息日の規程を排除する」という解釈を律法に持ち込んだことで安息日でも救急車を呼べるようになったそうです。
ただ、生命の危険かどうかの判断基準はそれぞれだそうで、その認識の違いでトラブルもあるそうです。
・1967年の第三次中東戦争以降のエルサレムを中心とした状況は混迷を極めているなと思いました。
平和的な方向を求めるものは暗殺されるか失脚し、権力を有したものは腐敗し、パレスチナ人も経済的利益のために東エルサレムに固執し、とかなり複雑な状況のようです。
