【イギリス近代史講義】レポート

【イギリス近代史講義】
川北 稔 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062880709/

○この本を一言で表すと?

イギリスの経済メインの近代史の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

第一章 都市の生活文化はいかにして成立したか――歴史の見方

・17世紀以降のイギリスは子供が14歳くらいになると上の階級の家庭に奉公するのが普通だったことから自分の生みの親との関係が希薄化して単婚核家族化していることや、奉公しながら一人前に成長するまでは結婚しなかったために既に晩婚の社会だったという話が面白かったです。
また、これらの事情から親を扶養する文化が薄く、救貧法が必要になったということも興味深いです。

・イギリス独特の外見で判断する文化や王室を貴族がまねて、貴族をジェントリがまねて、ジェントリを庶民がまねて・・・という流行の文化が面白かったです。

第三章 ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス

・AD(紀元後)はラテン語でBC(紀元前)は英語であること、その理由なども面白かったです。

・人口動態を統計学的に見ようとしてキリスト教的な人類創生やノアの洪水を起点とした資料が残っているのも面白かったです。

第四章 世界で最初の工業化――なぜイギリスが最初だったのか

・「産業革命」を需要面から見て毛織物業の先細りと綿織物業の発展性、不連続性の話が面白かったです。

・イギリス経済構造の二重構造(ジェントルマンによる金融のシティと製造業)とジェントルマンが製造業にかかわるとその資格を失うことの関連性の話が面白かったです。

第五章 イギリス衰退論争――陽はまた昇ったのか

・イギリスでは「第一次産業革命」はあっても第二次はなかったこと、ドイツやアメリカでは「第二次産業革命」はあっても第一次はなかったこと、産業革命自体を世界全体のシステムとしてみる視点が面白かったです。
イギリスの「世界の工場」時代が意外と短かった理由もなんとなくこれで分かったような気がします。

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