【猫の日本史】レポート

【猫の日本史】
桐野作人  (編集)
https://www.amazon.co.jp/dp/4800311306/

○この本を一言で表すと?

 猫愛に溢れまくった猫に関わる日本史の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・平安時代以降の猫好きエピソードが集められていて、世界の中でも日本は猫に対して好意的な国だったのかなと思えました。

・様々な猫好きの中でも行き過ぎなくらいの猫好きエピソードが集められていて、犬派・猫派なら、どちらかといえば犬派な自分でも猫が好きになりそうな、読んでいてニヤニヤしてしまう本でした。

・各章の各節ごとにコラムが掲載され、どれも面白くてよかったです。

第一章 雅やかな平安の世に登場した唐猫

・平安時代に書かれた日記や物語のところどころで猫が登場し、かなり詳しく書かれているのは面白いなと思いました。

・猫が登場する和歌も当時からたくさんあったのも興味深いです。当時の歴代天皇の中でも猫を愛している者が結構いて、当時権勢を誇った藤原家でも猫好きが結構いて、藤原道長も猫好きだったというのは面白いなと思いました。
また、猫好き同士の共感が当時の政治にも関わってくるというのも興味深かったです。

第二章 中世・戦乱の時代と猫たち

・猫好きの者以外でも、鼠退治に有用だから猫を飼ったり、余所から猫を借りてきたり、猫自体に資産価値があるために盗んだり、ということがあったそうです。
ただ、織田信長の鷹狩の対象として猫が狩られたりしていたようで、大和の国の守護に任じられた筒井順慶などは積極的に猫狩りをしたり、猫の不遇なできごとも書かれていました。

・豊臣秀吉が猫好きだったそうで、猫に関する法令を出していたり、島津家では猫を育てて公家に譲り渡すことで外交に活かしていたりしていたそうです。

第三章 太平の世を満喫した江戸の猫たち

・豊臣秀吉の出した法令以降、それまでは猫が紐で繋がれていることが普通だった状態から繋ぐことが禁じられるようになり、自由を得られるようになったものの、外で他の動物に殺されることも増えたそうです。

・鼠が庶民にとって重大な敵だったことから、鼠退治に使える猫の価格が高騰し、鼠取りのうまい猫は「逸物の猫」として高評価を得ていたそうです。
猫用の薬も開発されて使用されていたそうです。

・曲亭(滝沢)馬琴がかなりの猫好きで、息子の嫁のお路もまた猫好きで受け継がれていったこと、馬琴が盲目になった後はお路が小説を代筆していたこと、馬琴の死後、お路の息子が猫嫌いで泣く泣く猫を手放すことになった話なども興味深い話だなと思いました。

・歌川国芳・京山の兄弟コンビが猫を主人公にした草子を出版して大ヒットしたこと、登場する猫がそれぞれ歌舞伎の人気役者を模して書いていたことは初めて知り、面白いなと思いました。
天保の改革で歌舞伎が弾圧された時も、猫の当て字シリーズなどの戯画を出版していたそうです。
国芳は芝居通の友人梅屋鶴樹からアドバイスを受けていたそうですが、当時の流行りのものについて情報を集め、世間の興味を引く媒体と合わせて発信するというのは現代でも通じる手法だと思いました。

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