【ロビンソン・クルーソー】レポート

【ロビンソン・クルーソー〈上〉】
デフォー (著), 平井 正穂 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003220811/

【ロビンソン・クルーソー〈下〉】
デフォー (著), 平井 正穂 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/400322082X/

○この本を一言で表すと?

 ロビンソン・クルーソーの冒険と信仰と自省の物語の本

○面白かったこと・考えたこと

・ロビンソン・クルーソーは児童向けの本を読んだことがありましたが、話の筋等も大きく違っていて、ほとんど原型が残っていないものを読んでいたのだなと思いました。
その児童向けの本を読んで、孤島生活はなんとなく感覚的に数年程度、長くても10年くらいのイメージを持っていましたが、28年以上だったというのは大いに驚きました。

・上巻が一般的に「ロビンソン・クルーソー」と思っている話で、下巻は後日譚のようなものになっていましたが、「ロビンソン・クルーソーの生涯と冒険」が売れたので下巻の「ロビンソン・クルーソーのその後の冒険」を急いで書いたのではないかと思いました。
物語としても上巻の方がかなり完成度が高く思えました。あとがきによると、実際には「ロビンソン・クルーソーの生涯と冒険」と「ロビンソン・クルーソーのその後の冒険」は1719年に出版され、さらに1720年に第三部に当たる「ロビンソン・クルーソー反省録」を出していたというのは、最初から三部構成で考えていたのだと知って驚きました。
「ロビンソン・クルーソーのその後の冒険」の半分以上が後日譚に割かれていたのはこれまた意外でした。

・全般的に神への祈りや信仰に関することが全文字数の半分ほど割かれているのではないかと思いました。
上巻の孤島生活においてのそういった記述は、個人的にはたった独りで生活している人間が入り込む心理状態として妥当に思い、リアリティを感じました。

・孤島生活に入る前に80ページほど割かれて、かなり細かく経緯が書かれ、何年も冒険をしたり開拓したりした後で孤島生活に入るという流れもよかったと思いました。
上巻の孤島生活脱出後の話は既に後日譚のようになっていたので構成的に下巻に入れてもよかったのではないかと思いました。

・孤島生活の何かを作るにあたってかなりの時間をかけて実現する描写も説得力があるなと思いました。

・フライデイがかなりの重要人物で、下巻にも登場する割に、あっさりと死んでしまうところは、著者が書くのをめんどくさくなって退場させたような印象を受けました。

・各国の人の描写が、著者がこの本を書いた時代の典型的な国民性だったのだろうなと思うと面白かったです。
「ニュースでわかるヨーロッパ各国気質」という本でイギリス人が無謀な冒険に挑む気質があると書かれていましたが、登場するイギリス人が無謀な戦いを挑んだり好奇心の赴くままに行動する描写が随所にあり、国民性が続いているのだなと思いました。

・島にやってきたスペイン人やイギリス人の振る舞いなどは、特殊で不安定な状況に置かれた人間のエゴがむき出しになったり、むしろ誠実さが前面に出たり、一般社会の中では出にくいようなところが出てくるさまがリアルに描かれているなと思いました。

・ロビンソン・クルーソーを落ち着かせてしまったら小説にならないとは思いますが、痛い目に遭っても何度も懲りずに冒険に踏み出していくところは、ある意味人間らしい、だれにもある「のど元過ぎれば熱さ忘れる」というところが出ていて妙に共感できました。
「できるだけ誰も殺さない」と何度も決意し、表明しながらも割と好戦的だったりする矛盾も人間らしいなと思いました。

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