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【大平正芳―「戦後保守」とは何か】レポート

【大平正芳―「戦後保守」とは何か】
福永 文夫 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121019768/

○この本を一言で表すと?

 大平正芳の事績とその背景を丹念に追った本

○面白かったこと・考えたこと

・名前を知っているものの詳しくは知らなかった「大平正芳」という人物とその行ってきたことを一通り知ることができたように思います。
今の日本に至るまでに「この人物がいなかったら歴史が変わっていた」という人物の一人だなと思いました。

・田中角栄の本を読んだ後に読んだので、比較すると本の形式としてその時に起こったことなどが丁寧に書かれている印象がありました。
また、田中角栄の派手で大きな波を自分から起こすような人生と大平正芳の堅実に物事を漸進的に進めるような人生の対比も印象的でした。

第1章 青少年期

・大平正芳の当時の中流から普通の秀才として人生を歩んでいく姿は他のドラマチックな人生を歩んだ人物と比較すると地味に思えました。

・大平正芳が大学で学んだ教授の教えからその後の政治に活かしていくところは身につけることころから実践するところまで着実な流れだなと思いました。

・二つの中心が均衡を保ちつつ緊張した関係にあることが望ましいという「楕円の哲学」、未来と過去の緊張したバランスのなかの「永遠の今」など、現代においてもバランスの良い安定した考え方に繋がりそうだなと思いました。

・農村出身の大平正芳が故郷の村長から受け取った手紙で受けた献策「棒樫財政論」も、枝葉を切り落として棒樫にすることが全体の健全化に繋がるという分かりやすく受け入れやすい表現でよいなと思いました。

・池田隼人の秘書となって足りないところを埋めることで信頼を得る流れは「7つの習慣」に載っていたワンマン上司を批判するのではなく支えることで重要な人物になった事例と似ているなと思いました。

第2章 「保守本流」の形成

・議員になった当初の「陣笠議員」として選挙区や東京を動き回る異常に多忙な議員生活や、その後池田隼人が首相になってからの主流化、官僚から学ぶことで外交知識を有した状態で外相になり、実績を出すことで池田隼人に疎まれ出して主流から外され、またその傷心の時期に長男が死んでさらに落胆することなど、安定した人間の波のある人生というある意味一つの典型のような流れだなと思いました。

・賭けを打って成功するパターンではなく、成功できるだけの地力をつけて地位を向上させていく様子は、一度落ちながらもその後の再浮上が当然と思えるようなしっかりした土台を持っている者の強みを感じました。

第3章 宰相への道

・「三角大福」と呼ばれるトップの一角としてありながらも、積極的にトップに立つよりはトップを補佐しながら政策の主導をしていく様子は安定感を感じさせるなと思いました。

・日中外交、ニクソンショック、オイルショック、ロッキード事件による田中角栄の失脚など、国内外の様々な難局の中で立ち位置を変えながら関わっていくところもこれまた安定感を感じさせるなと思いました。

第4章 大平政権の軌跡

・トップを補佐し続ける立場からついに首相になり、その中で立ち上げた九つの政策研究会の内容とその陣容が凄いなと思いました。

・第二次オイルショックやダグラス・グラマン事件などがありながらも乗り越え、消費税導入を進めようとして選挙でかなり党全体の票を落としながらも総裁選に勝利したことなど、失敗があってもそれまでに積み上げたものが大きければ受け止めることができるということかなと思いました。

・大平正芳が病に倒れて亡くなることで弔い選挙となり、自民党が一致団結したというのは歴史の皮肉だなと思いました。