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【人生の短さについて 他2篇】レポート

【人生の短さについて 他2篇】
セネカ (著), 中澤 務 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4334753507/

○この本を一言で表すと?

 身近で根本的な問題に対する解決策を述べた本

○よかったところ、気になったところ

・「運命」を所与の条件として、覆すことのできないものとみなして、それ以外のものを変える、アプローチする、という内容がそれぞれ述べられていると思いました。
アルコール依存症連合会の掲げる「主よ、変えられることを変える強さを、そして変えられないことを受け入れる穏やかさを、さらにそれを見分ける知恵を与えたまえ」と通ずるところがあるように思いました。
こちらはプロテスタントの「平安の祈り」がもとだったと思いますが。

・セネカの100年ほど後の哲人皇帝マルクス・アウレリウスの「自省録」もストア派の考え中心だったと思いますが、こちらは「こうありたい」という内容であって、あまり実践はできていなさそうな内容でした。
それに比べるとセネカの著作は地に足のついた内容で、巻末の解説や年譜を見ると、この本に書かれている内容を死ぬまで実践していたように思えました。

・「運命」の捉え方によって、流れに身を任せる生き方にも繋がりそうな内容だと思いました。
所与の条件を変えられないものとみなすか、変えられるところもあるものとみなすかでアプローチは大きく変わりそうです。
セネカのこの3編だけ読むと、「運命」は避けられないものとして、その「運命」を受け入れてからのアプローチになっているように思いました。
セネカの最期も「運命」を受け入れての自殺でしたが、「運命」に抗うことは思想上ありえないことだったのかなと思いました。

人生の短さについて

・人生が短いという人は、自分で人生を短くしている、ということを様々な例を挙げて述べていました。

・多忙な中で閑暇を追い求め、それを果たせなかった事例が述べられ、文章の送り先のパウリヌスの状況にも当てはめ、忠告していました。

・途中まで、「働いたら負けかなと思ってる」と発言した元祖ニートと同じ方向性かなと思いましたが、最後の方でより重要な自身の仕事に集中するべきだという結論になっていて、残念にも思いましたが少しほっとしました。

・時間を過去、現在、未来に分け、未来を気にすることは時間の浪費であり、過去に学びながら、過去の賢人に学びながら現在に集中するべきだという話は建設的だと思いました。

母ヘルウィアへのなぐさめ

・母親を慰める、という身近な内容を、哲学的考えによる「悲しみ」そのものや原因に対する考察と、周りにいる偉大な人物の称揚で成し遂げるという、かなり回りくどいような、適切なような話だなと思いました。

・幸福とは何か、不幸とは何かを極端な例も挙げながら説明し、幸福かどうかは自身の考え方やあり方次第であること、身につけた徳や学問があればどこでも充実した人生が歩めることを説明していました。

・最後に母親の周りの女性の話を入れて、自身で何とかするだけでなく、周りの助けも求めればいいと甘いところを見せているのは、セネカが理に走りすぎず、思いやりもある人物だと思いました。

心の安定について

・自身の心の安定をどこに求めるか、ブレる自分とどう向き合うか、という現代でも多くありそうな悩みに対して解決策が示されていました。

・自身の望み、どうありたいかなど、それ自体も見つめること、自身に身の丈に合わない望みではなく、自身が取り組める望みから手を付けること、望んだことが叶わなかったとしても自身ができる範囲でなすべきことに取り組むべきことが述べられていました。

・自分自身で全てを突き詰めるのではなく、周りの人との交流も大事だと述べていること、疲れた時の気晴らしも重要だとしていることは、「ストイック」の語源であるストア派の考え方としては現実的で柔軟だと思いました。