【SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法】レポート

【SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法】
ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著), ブレイデン・コウィッツ (著), 櫻井 祐子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/447806699X/

○この本を一言で表すと?

 5日間で大きな問題を解決し、顧客テストまで済ませるGV(グーグル・ベンチャーズ)の手法の本

○概要

「SPRINT」とは

・GVが投資先に提供してきた問題解決手法。

・5日間で大きな問題を解決する。

・Google内のプロジェクト(Gmail、Chrome等)、フェイスブック、エアビーアンドビー、スラック、ブルーボトルコーヒーなど、様々な企業で導入されている。

SET THE STAGE 準備をする

・課題を見抜く。(課題は大きければ大きいほどいい)

・7名以下のチームメンバーを選ぶ。(決定権をもつ人をなにがなんでも参加させる。)

・時間と場所を確保する。(5日連続でスケジュールと場所を確保)

MONDAY 目標を固める

・「長期目標」と「スプリントクエスチョン(スプリントで答えを出したい質問)」を定める。

・「役者」を左端に、「完了」を右端に書き、その間を一言フレーズと矢印でつなぐ「マップ」をつくる。

・戦略、顧客、製造、サービス提供等の専門家に意見を聞いてメモる。

・「マップ」の中で、一番大きなことができる「ターゲット」を決める。

TUESDAY 思考を発散させる

・既存のアイデア、専門家の意見、社内・社外の別分野のヒントになりそうな事例で「光速デモ(3分で説明)」を実施し、その中の「ビッグアイデア(肝となるアイデア)」をまとめる。

・まとめられたビッグアイデアから情報を収集し、アイデアを考え、3コマのスケッチを作成する。(ブレーンストーミングは絶対にしない。全員が「個別」に取り組む)

WEDNESDAY ベストを決める

・火曜日にメンバーそれぞれが考えたアイデアをホワイトボードに貼り、ドットシールで人気投票し、シールの集まったアイデアを中心に品評し、全員で模擬投票し、決定者が「最終決定」する。

・複数のアイデアが残った時、まとめられる場合は統合し、アイデア同士が矛盾する時は両方残して金曜日に対決させる。

・残ったアイデアについて、スタートから結末までの「ストーリー」を固める。

THURSDAY 幻想をつくる

・1日でプロトタイプを作成する。

・「ちょうどいいできばえ」をめざす。
完璧を目指さないが、「リアル」に見えるものをつくる。

・メンバーを5つの役割に割り振る。
メイカー(プロトライプをつくる人)、スティッチャー(プロトタイプをつなぎ合わせて整合性をとる人)、ライター(プロトタイプ中の文章を考える人)、資産コレクター(つかえるサンプルや自社製品などの使える要素を探す人)、インタビュアー(金曜日のテストで顧客に接する人。インタビューの原稿を考える)。

FRIDAY テストをする

・テストする顧客は5名で十分。
ただし、全員目的に適合する顧客であることが条件。

・インタビューは答えやすい環境づくりに留意し、インタビューを受ける顧客の背景を含め、オープンな質問で聞き取る。

・インタビュアー以外は別の部屋でメモを取り、5名のインタビュー完了後に結果を総括する。

「SPRINT」概略

・月曜日にマップをつくり、ターゲットを決める。
・火曜日にソリューションをスケッチする。
・水曜日にどれが一番よいかを決める。
・木曜日にリアルな試作品をつくる。
・金曜日にターゲット顧客でテストする。

「SPRINT」の導入が難しい点

・意思決定者含め、重要なメンバーを一週間まるまる拘束する必要がある。

・参加メンバー全員が課題の解決にコミットしていなければならない。

・参加メンバー全員が「SPRINT」の手法にコミットしていなければならない。

※本の中でもこれらが守られていなかったことで失敗した事例がいくつも書かれていました。

○つっこみどころ

邦題の付け方が致命的。

・全く本の中身と違う上に、この邦題に惹かれてこの本を購入した人は、あまりにも自分の状況に使えなさ過ぎることに愕然とするのでは。

・読んでみると「最速仕事術」ではないし、「あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法」でもありませんでした。

・2017年に発売された時は書店で平積みされてこの本だけのコーナーがあったが、全く惹かれませんでした。
何かのきっかけでこの本の内容を軽く知り、今年書店に購入しに行きましたが、難波のジュンク堂で1冊しか在庫がありませんでした。
しかも初版。おそらく滞留在庫。

・ダイヤモンド社らしいタイトルの付け方かも知れませんが、原書の副題をそのまま邦訳した副題だったら、私は平積みされていた時に購入していたかも知れませんし、息長く今も売れ続けていたかも知れないなと思いました。
「たった5日間で大きな問題を解決し、新しいアイデアをテストする方法」

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