【愛するということ】レポート

【愛するということ】
エーリッヒ・フロム (著), 鈴木 晶 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4314005580/

○この本を一言で表すと?

 愛を現象や感情ではなく技術や行動として考えた本

○この本を読んでよかった点・考えた点

・以前から著者もこの本のタイトルも聞いたことがあり、いつかは読みたいと思っていました。
「7つの習慣」の第一の習慣のところで、「愛は動詞である」という言葉が出てきますが、おそらく原典はこれだろうなと思いました。

第一章 愛は技術か

・恋愛による結婚ということがごく最近発生したものだということは知っていましたが、今から60年ほど前に書かれた本でそのことを取り上げ、恋愛による結婚を批判的に見ているのは興味深いなと思いました。

第二章 愛の理論

・「愛」の定義が著者のフロイトの理論に対する理解を元に書かれていて興味深いなと思いました。
フロイトの理論を批判的に見ながらもほとんど忠実にその定義から発展させて所与の「愛」ではなく能動的な「愛」について書いているのは興味深いなと思いました。

・自己愛も重要と考えているのは、一般に「自分を愛せない者は人を愛することができない」と言われていることと違うようで共通点もあり、興味深いなとおもいました。

第三章 愛と現代西洋社会におけるその崩壊

・第二次世界大戦後10年経った頃の時代の風潮を著者がかなり嫌悪感を抱いて描写し、「愛」の技術レベルが最低レベルにあると書いているのは、著者が時代についていけなかった僻みからか、著者が時代についていかなかった客観性からか、それらが入り混じったからか、興味深いなと思いました。

第四章 愛の習練

・「愛」の技術を身につけるために必要な資質として「規律」「集中」「忍耐」「やる気」の4点を挙げているのが、他の技術を身につけるために必要な資質と共通していて、著者がまさに「愛」を技術として考えていることが伝わってきました。

○つっこみどころ

・愛を技術として考える観点は面白く、また納得できるところもあるなと思いましたが、著者が結局何を指して「愛」と言っているかの焦点が定まらず、もやっとしているなとも思いました。

・「愛」ということを「愛すること」と「愛されること」に分け、「愛すること」が「愛」であると言い切っているのは、自己犠牲愛・兄弟愛・親子愛・慈愛・性愛などの多義的な「愛」を一面的に考えているような気がしました。第二章でそれらについて触れているので著者が理解していないわけではないと思いますが、結論ありきの議論という偏った印象を受けました。 (第一章 愛は技術か)

・「愛」の種類をいくつか挙げながら基本は一緒だとしているのはかなり強引だなと思いました。 (第二章 愛の理論)

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