• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【ファシリテーター完全教本】レポート

【ファシリテーター完全教本 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて】
ロジャー・シュワーツ (著), 寺村 真美 (翻訳), 松浦 良高 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532312280/

○この本を一言で表すと?

 ファシリテーションの理論・技術・実践例を載せた教科書

○<プロフェッショナル・ファシリテーター>アプローチの概要

・アプローチの要素と目的

 高能力グループ・モデル
 明確に定義されたファシリテーターの役割
 幅広い職種・役割で使える
 明示された基本価値
 高能力グループの基礎ルール
 現状分析―介入サイクル
 低次の推察
 自分の考え方を見直して変える
 協働の仕方についての合意プロセス
 システム・アプローチ

・2つのタイプの行動理論

 建前理論・・・「自分はこうする」といっていること。表向きの理論。

 実行理論・・・実際に行うことに反映されている理論。自分で意識していない場合も多い。

・3つの実行理論モデル

 一方的コントロール・モデル(P.37~51)・・・対立や能力低下などを生み出しかねないモデル。往々にしてなりがち。

 コントロール放棄モデル(P.51~53)・・・一方的にコントロールを放棄する、一方的コントロール・モデルの類型。

 相互学習モデル(P.53~73)・・・本著で目指すファシリテーターとその協働グループが能力を高められるようにするモデル。

・相互学習モデルの4つの基本価値

 確かな情報
 情報に基づいた自由な選択
 内面的コミットメント
 共感

・相互学習モデルの4つの基本想定

 わたしは情報をもっているが、ほかの人たちだって情報をもっている。
 わたしたちは、ほかの人のみていないものをみている可能性がある。
 相違は学びの機会である。
 人は与えられた状況下で誠実に行動しようとする。

・相互学習モデルの戦略(=<プロフェッショナル・ファシリテーター>アプローチの基礎ルール)

1.想定や推察を確認する
2.すべての関係情報を共有する
3.具体例をあげ、重要な言葉が何を意味しているのかについて合意しておく
4.理由と意図を説明する
5.「態度」ではなく「関心」に焦点を合わせる
6.提案と質問を組み合わせる
7.次のステップと、意見の相違を解消する方法を一緒に作る
8.タブーを話し合う
9.必要水準のコミットメントを生み出す意思決定プロセスを使う

○よかった点

・<プロフェッショナル・ファシリテーター>アプローチの各要素について、それぞれ事例を交えて詳細に説明しているところが教本として成立していていいなと思いました。

・この本を読む7年ほど前に「会議が絶対うまくいく法」という本を読んでファシリテーターの位置づけを知りましたが、ファシリテーターの役割などはわかったものの、実際にどういう風に進めていくかなどの具体的なノウハウを知ることはできませんでした。
この本でいろいろ学ぶことができたような気がします。

・「実行理論」の考え方はいいなと思いました。自らの「実行理論」を自覚せずに行動していることは自分も周りも結構ありそうで、見直してみる価値があると思います。(P.75,76)

・事象そのものと想定・推察とを分ける考え方は重要だと思いました。
想定・推察を事実だと自分の中で誤認して判断することはありがちですので、気を付けたいと思います。
たとえ事実を確かめずに想定・推察をもとに行動する場合でも、そうしていること自体を自覚することに気を配りたいです。

・この本の中で書かれている「現状分析―介入サイクル」を基本価値、基礎ルールなどで説明するなど、この本の中の要素がこの本を書く場合にも使われているため、この本の<プロフェッショナル・ファシリテーター>アプローチがしっかりシステム化されているなと思いました。

・感情面についても、ケースにわけて触れられているのは実践的だと思いました。(第8章)

○参考にならなかった所、または突っ込みどころ

・「基礎ルール5:「態度」ではなく「関心」に焦点を合わせる」で、「関心」は「ある状況におけるニーズや願望である」と解説してありますが、「態度」についての説明が見当たりませんでした。
「行動そのもの、または行動指針・性向」といった意味合いでしょうか。

・第5章以降で「高能力グループ・モデル」という言葉がよくでてきますが、P.9で出てくるものの、それが何かは具体的には説明されていないような気がします。

・P.257から「EQ」の引用がありますが、大脳新皮質を迂回して扁桃核に達するバイパスルートが感情を生むプロセスとして書かれています。
「EQ」では迂回ルート「も」あるとして、基本は大脳新皮質経由だと書かれていたと思います。

・第7章は誤植が多いと思います。(P.237の⑤と⑥が同じ記述、P.251の⑤と⑥はP.236をコピーした後の修正漏れ)

・現状分析のステップ①と②で言動そのものとそれに対する推察を同時に進めると書かれてあり、「誰ができるんだコレ?」と思いながら読み進めていました。
P.169~で課題として挙げられていましたが、かなり訓練が必要なプロセスだと思います。

・事例全体として、実際に私がメンバーとしてファシリテーターに同じことを言われたらイラッとしそうな記述がかなりありました。特に第8章。
このあたりをイラッとさせずに進める対人スキルは相当なものだと思います。