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【LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲】レポート

【LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲】
シェリル・サンドバーグ (著), 村井 章子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532318971/

○この本を一言で表すと?

 GoogleとFacebookの成功に貢献した女性の苦労とまだ存在する男女格差とその打破についての本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・Facebookについて書かれた本とGoogleについて書かれた本を読んで、どちらの収益モデルをつくり出すうえでもキーパーソンになったシェリル・サンドバーグが本を出したということで発売日に購入しました。
経営のノウハウやそれぞれの会社でどういうことがあったか、などについて書かれた自伝的な本だと思って購入したのですが、女性という身で社会に出ることで起こり得る、実際に起こっている格差についてかなりオープンに書かれ、そういったことに対する現実味のある対処法なども書かれていて、期待していた内容とは全く異なりましたがいろいろと勉強になりました。

・アメリカを中心に書かれ、「アメリカでこのようなことがある」と事例が挙げられた後に日本が引き合いに出され、「日本ではさらにこのようなことがある」とアメリカ以上の男女格差国家であることが示され、それに引き替え欧州については「欧州ではこのようなことはない」と改善されている地域として示され、国際情勢の本を読んでいて感じる実感と一致していてより現実味が感じられました。

・書かれている内容がどのような文献やデータに基づいているかがかなり詳細に書かれていて、著者の思いだけでなく事実、少なくとも調査結果に基づいた話であることが感じられました。

・自分自身は割と男女の差をそれほど気にしない人間だと思っていましたが、この本を読んでいろいろと自分の中にある格差に貢献する「常識」や「思い込み」に気付かされました。
また自分でもっていなくても「空気」として世の中にあるそれに気付かされました。
この本を読むといったようなきっかけがなければ気付くことすらできなかったということに、なかなか根深い問題だなと考えさせられました。

序章 内なる革命

・著者の祖母が「男性と同じくらいに仕事ができる」というだけで給料が男性より格段に低くても誇りに思えた、という過去の事例と、今なお存在する企業の上部に行くほど女性が減っていく状態、女性の権利を求める運動が実現したようでありながらまだまだ存在する障壁などが挙げられ、それを打破するのが女性のリーダーであること、それを内なる革命、革命の炎というかなり強い表現で表していることは、読み始めた時は割とスルーしていましたが、全部読み返してから見ると著者の意気込みが感じられるなと思いました。

1 怖がらなければ何ができる?

・女性は「女性らしさ」を当然のように求められ、「女性らしくない」というレッテルを怖れる、という話は、ありきたりだと思いますが、著者のような社会的に成功した女性ですらその怖れから逃れられないというのは、とてつもない呪縛だなと思いました。

2 同じテーブルに着く

・会議についてきた女性が同じテーブルに着くということを考えすらもしていなかったという話、「女性特有の詐欺師感覚」という自分の業績を褒められると評価に値する人間だと思えずに詐欺師になってしまったような感覚になるという話、女性と男性のある成功に対する自分の貢献の感覚の違いの話は、これも考えさせられるなと思いました。女性だけが該当する話ではないと思いますが、確かに女性の方が該当しやすそうな気がします。

3 できる女は嫌われる

・全く同じ能力の履歴書で男女だけを変えると男性なら「望ましい同僚」、女性なら「ともに働きにくい同僚」となったというのはすごい違いだなと思いました。
成功することで好かれなくなるというジレンマを感じるというのはそれだけでハンデになりそうに思いました。

4 梯子ではなくジャングルジム

・キャリアを梯子のように昇り降りしてそこから外れる時は新しい梯子に挑戦するイメージではなく、横にも移動したり昇るために一旦降りたりするジャングルのイメージで考えるというのは実態に合っていて、人にも勧められる考え方だと思いました。
一つのことに集中するだけでなく、新しいことを学び、さらに向上していくという考え方は建設的で賛成できるなと思いました。

5 メンターになってくれませんか?

・女性がメンターを探したがる、ということを依存心に結びつけて考えているのは短絡的な気がしましたが、実際にそういうケースが多いのかもしれないなと思いました。
メンターやサポーターの重要性の話と、そのメンターやサポーターのほとんどが男性である内はなかなか男女格差が改善されないという話は確かにそうで、なかなか改善の難しい問題だなと思いました。

6 本音のコミュニケーション

・本音のコミュニケーションの大事さとその難しさ(聞き入れることの辛さ、相手への配慮など)は確かにあるなと思いました。
相手と自分の立場の違いから、ちょっとした発言のつもりがかなり拡大解釈される話など、組織に属していればどこでもありがちな話だと思います。
事情を正直に打ち明けることで状況が改善された事例がいくつか挙げられていましたが、その状況が悪化するかもしれないリスクもあってなかなか難しいことだと思いました。

7 辞めなければならないときまで辞めないで

・夫婦に子供が生まれた時、夫には「おめでとう!」と伝え、妻には「おめでとう!・・・で、仕事はどうするの?」と聞くという話は、本当にありがちだなと思いました。
子供に対して女性にしかできないことがあるということと、それゆえに女性が負担すべきと当然に思われていることの間にいろいろな論理があるはずなのに短絡的に結び付けられるというのもありがちで、かつ根強い話だなと思いました。

・子供が生まれることと仕事を辞めることを直結させないことを選んだ女性が、その地位が高いほどに周りからバッシングを受け、時には大きなニュースになるというのは、それだけ共感する人が多いということでもあり、大変だなと思います。

8 パートナーをほんとうのパートナーに

・パートナー間の意識格差「赤ちゃんのことについて『考えている』」という内容で、夫は「何がしたいか」を中心に考え、妻は「何をしなければならないか」を考えること、その背景に当然子育ては女性がやるものという意識があることも、心当たりがあると思います。
このことを意識している男性でも、実際には女性と同じだけ真剣に子育てについて考えられている人は少なそうです。
母親にしかできないことがあるとしても、子育て全体からみるとそれはごく一部で、男女対等に割り振れるというのは確かにその通りだなと思いました。

・「母親の管理者意識(家庭責任意識)」で女性が口を出し過ぎて男性に任せないという話も実際にありそうだなと思いました。
女性側も家事や子育てにおいて男性を対等のパートナーと認めて「ほんとうのパートナー」として仕事も家庭も互いに両立させるというのは、そこまでもっていくのは大変でもなかなか有意義な関係ではないかなと思いました。

9 スーパーママ神話

・「すべてを手に入れる」「すべてを完璧に」というのは危険だと客観的に考えれば誰でもわかりそうですが、実際に自分の身になるとそれを目指したくなるというのもよく分かる気がします。
フェイスブックの「完璧をめざすより、まず終わらせろ」というポスターは、自分でも作って貼りたいくらいにいい文句だと思いました。
コリン・パウエルの「忙しがり屋はリーダーとして認められない」という考えはかなり示唆に富んでいてその通りだなと思いました。
「自分にできる最善の選択をしてそれを受け入れること」と「すべてを手に入れること」の違いは本当に大きなものだなと思いました。

10 声を上げよう

・「声を上げること」がないと始まらないということ、そのために「ナッジ(そっと肩を押す)」というレベルから始めること、「男であること」「女であること」による影響について発言し、その認識から始めること、などのプロセスは、男女格差に関する話だけでなく、何事を始めるにも大切なことではないかと思いました。

11 ともに力を

・女性対女性という対立構造が立場の違いによって現れるというのは、実際にありそうだなと思いました。
ジェンダー戦争と呼ばれる「家の外で働く女性」と「家のなかで働く女性」の戦争は、どちらも自分の立場への誇りと劣等感をともに持ってしまっていて、自己肯定のために相手を否定することにかなり力を振り絞ってしまいそうな気がします。
そんな内側の争いもある中で、声を上げ続け、男女格差がないことが当たり前の世界に繋ぐ活動を進めている著者はすごいなと思いました。