【老子】レポート

【老子】
金谷 治 (著)
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○この本を一言で表すと?

 中国版アーミッシュの書、古代のナチュラリストの書、そして古代ニートの書

○考えたこと

・高校1年生の時、宇宙の始まりについて考えていて、ビッグバンの前にも宇宙はあり、その前は?さらにその前は?・・・と追及していて「ものごとには必ず始まりと終わりがある」ということにも例外があって、それが世界の創造者みたいな存在なのだろうかと考えました。
キリスト教のような人格のある創造者かどうかは別として、世の中の法則を超越した、人間が考えても辿りつけないところにいる存在がいるのかなと。
「老子」を読んでいて、「老子」の言うすべての根源である「道」は私が考えた超越者のようなものかなと思いました。

第四章

・「空」が器の中身が空でないと用を為さない、空であるからこそ意味がある、と言うことが「茶の本」に書かれていたと思います。
同じく「茶の本」で「茶道は禅から、禅は道教からきた」ということが書かれていましたが、その元の本に当たれたなと思いました。

第八章、第六十六章

・「水は衆人の悪む所に処る」「其の善くこれに下るを以て」はある意味サーバントリーダーシップに繋がるなと思いました。
あとHPの組織図(CEOを下にした逆三角形の組織図)も思い出しました。

第九章

・「功成り身退くは、天の道なり」は古くから現在にいたるまで幾度も証明されてきたことだと思います。
成功に貢献した者が成功した後では邪魔者とされたり、若い頃には優秀であった者が年老いて害を為す者になったり、挙げればいくらでも挙げられるほどいつの時代、どの地域でもあった話だと思います。(漢の韓信、中国の毛沢東、エジプトのムバラク など)

第三十三章、第四十七章

・「人を見るは智、自ら知る者は明」として自分を知ることをより重視しているのは孫子の「人を知り己を知らば・・・」(孫子 謀攻編)の話と似ているなと思いました。「老子」の方がより自己重視ですが。

第四十章

・「大器晩成」という言葉が「老子」からきていて、それも元は「未完こそが大器の特色」という意味であったことは初めて知りました。
「論語」の「啓発」が元と違うことと同じような話が「老子」でもあったのかと思うと面白いなと思いました。

第五十三章

・特権階級が、民が苦しんでいるにもかかわらず贅沢していることを「盗人の贅沢」と言っているのは今でも通ずる感覚だと思いました。

第五十四章、 第六十五章、 第八十章

・「老子」と進歩を否定した徳川幕府の政策との共通点が見出せたように思います。「日本という閉じられた世界で普く治めた」「愚民政治」「小国寡民」

第六十三章、第六十四章

・問題を小さいうちに解決することで大事にしないという考え方は今でも通用する考え方だと思います。
このタイプの管理者は表立って目立った実績を挙げないので評価されにくいですが、その良さを分かっているなと思いました。

第七十三章

・「天網恢恢疎にして失せず」が老子の言葉だとは知りませんでした。
「老子」のこの言葉から仏教の「因果応報」などの概念に繋がったのかなと思いました。

第七十七章

・「天の道は其れ猶お弓を張るごときか」の考え方は今の日本の共産主義的、平等主義的な考え方に似ているなと思いました。
その割に全体として君主と民をきっちりわけているのがどこか面白いなと思いました。

○つっこみどころ

第二十章、第四十八章

・「学を絶てば憂い無し」「学を為せば日々に益し、道を為せば日々に損ず」などの考え方は自分には受け入れがたいなと思いました。
オセアニアの農耕民族と狩猟民族の争いのように、発展した側が発展しない側を滅ぼすなど、全ての人が実践する保証がないとなりたたないのではと思いました。

第六十七章、第七十章

・「天下皆我れを・・・・夫れ唯大なり」「即ち我れ貴し」など、急に自己顕示欲的な自己主張が出てきたなと思いました。

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