ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/
第8章<雇用構造のマネジメント>
1.労働市場と構造的関係のマネジメント
・雇用慣行 期間・保証・仕事のあり方(スペシャリスト、ライン)、賃金支払の原則
・雇用構成 正・パート、ストック・フロー
・労使関係 選択困難・・・キャリアパス
2.雇用構造の多面的な影響
・何を雇用するのか
スキルベース・・・スキルのサービス ⇒ポータブル(移動可能) (スキル = 対価)
ヒトトータルベース・・・人材 ⇒スキルを持った人のあり方、多様性に着目、蓄積を重視
スキル+将来の可能性 = 対価
・ヒトとカネの違い
多様性、学習可能性、不確実性、提供者との不分離性、代替可能性困難
3.雇用構造の選択の論理
・インセンティブとリスク:経済の論理
雇用する側・される側のリスク分配
長期⇔短期 解雇リスク、不正確認・発見性
成果⇔固定 インセンティブ
4.日本企業の効用構造の特徴とその論理
・長期雇用
・年功序列
・企業別組合
・見えざる出資(賃金と生産性の不一致)
企業の固定費大・資源配分非効率
※場
・参加と所属、個人の充実感
⇒職業生活形成有無
⇒この形成自体がインセンティブとなり得る
<演習問題>
1.スキルベースとヒトトータルベースの考え方、どちらかに偏った時の経営上のマイナス、社会的なマイナスを具体例とともに検討
スキルベースに偏った時・・・短期的には効率的だが、長期的な視点による経営は困難。
⇒学習効果等の技術蓄積困難
「会社は社会の公器」という視点が薄く、情の薄い企業としてのイメージが定着する恐れ
ヒトトータルベースに偏った時・・・経営上、コストパフォーマンスの良い人材を求めにくくなる
⇒人材の流動性悪化、固定費増
さらに年功序列の勢いのない企業というイメージが定着する恐れ
2.自分が勤めている会社の賃金制度はどのような賃金支払いの原則の上で作成されているか? 実際の賃金制度とその現実の運用の仕方が意味している賃金支払いの原則を検討
基本として年功序列+職能制度(資格等の検討)。硬直的だが、少数の抜擢もある。
不景気になり、成果主義(という名の減額主義)になってきている。
3.見えざる出資の考え方の背後に賃金以外の雇用慣行がどのように関連しているか? 年功賃金制度から成果主義制度への以降で見えざる出資はゼロになっているか?
具体例をイメージしながら検討
終身雇用のための保険のイメージ
成果主義は効果より効率(費用減額)の観点で導入されることが多い為、
見えざる出資の額はゼロとはなっていない。