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ゼミナール経営学入門 「第21章 コーポレートガバナンス」

ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/

第21章<コーポレートガバナンス>

○コーポレートガバナンスとは

要素:主権、メカニズム

 主権:不可欠な資源を提供、コミット(大きなリスクを負う)⇒逃げない資本を提供
    ⇒株主とコア従業員が該当(顧客、銀行、取引先等は該当しない)

○主権論

経済合理性、制度有効性、社会親和性

・経済合理性

   公正性・・・貢献の大きさ、リスク負担の大きさ、コミットメントの大きさに応じて

   効率性・・・意思決定の効率性(情報効率、インセンティブ効率)

・制度有効性

   現実的機能性・・・企業の円滑な運用のために機能(資金調達等)

   チェック有効性・・・とくに経営者へのチェック機能

・社会親和性

    歴史的状況、権力の正当性(一国の政治の世界と同様:王権神授説、共同体、財産の処分 等)

○メカニズム論

一時的な不健康の回復のメカニズム(過剰、過小を回避)
  退出と発言(ガバナンスの一般論)
  ⇒コーポレートガバナンスでは株主=カネ(退出しやすい)、ヒト(発言しやすい)
   但し、日本はヒト中心で退出しにくく発言しにくい
      アメリカはカネ中心でヒトも退出しやすい
   主権論とのマッチングには設計が重要←ミスマッチするとガバナンスが空洞化

○ガバナンスの国際比較

・アメリカ・・・株式会社の発展、株主支配の制度設計⇒但し、株主が弱くなっている。
   ⇒年金資産の増大⇒ファンドの増大⇒機関投資家の台頭

・ドイツ・・・共同体感覚の反映⇒監査役会で株主と従業員が50:50(但し議長は株主側)
   ⇒アメリカ化が進む また、制度的に階級対立構造の法的固定化に

・日本・・・制度は株主重視だが、実態としては従業員重視

○二重の無責任とコーポレートガバナンス

取締役、株主の無責任

・取締役の無責任:直接責任を取らないことによる

・株主の無責任:短期売買目的の場合に顕著⇒機関投資家が台頭すると影響大
 ⇒制度化が必要
  ・株主総会の制度改革⇒決議事項の制限、定足数の緩和⇒取締役会の強化
  ・議決権に関するルール⇒短期所有目的株主の議決権制限強化
  ・機関投資家への直接的制限


<演習問題>

1.日本で90年代に株主の発言力を高めるべきだという意見が大きくなっている理由と、その意見に対する賛否。


株主の発言力を高めるべき、という意見が大きくなってきた原因:政界の動向が株主重視方向にあったこと、日本の株価の頭打ち(好景気で見えなかった放漫経営の可視化)

賛否:株主の発言力を高めると経営の舵、それも思い切った舵であれば余計に切りにくくなる。長期的視野の経営ができず、短期的視野での経営に陥りがち・・・よって反対

2.三井家が従業員持ち株会社として出発した理由と、戦後の財閥解体後の株式持ち合いサラリーマン経営との違い。


「人の三井」と呼ばれ、血族以外の者の登用を当初から行っていた。「組織の三菱」「結集の住友」に比べて個性ある人物を多く輩出している。
三井は「番頭政治」三菱は「独裁政治」と言われる。

財閥としての「番頭政治」と株式持ち合い後の経営者では立ち位置が異なる?
相対的には(どちらかといえば)番頭政治⇒株主(財閥血族)優位
株式持ち合い⇒経営者優位。

3.従業員の権利を認めるトップマネジメントへのチェックメカニズムの検討。


・従業員総会を設立し、株主総会、取締役会への拒否権を与える
 ⇒社内ローカル法としては可能か?(株主総会への拒否権は難しい?労使協定等と組み合わせれば近い形態は可能?)

・取締役の一部を従業員にすることを強制
 ⇒人的会社なら可能。