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ゼミナール経営学入門 「第2章 競争のための差別化」

ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/

第2章<競争のための差別化>

1.顧客と競争相手はだれか

○競争戦略

ある事業での企業の市場対応行動の基本設計図
⇒顧客にアピールし、競争相手との優位性や違いをつくるための設計図としての戦略
⇒差別化のための設計図
差別化は二つの基礎的な要因の認識が必要になる⇒顧客を誰?競争相手は誰?
⇒「価値の違いの認識」を誰にしてもらうかが重要となる。

○誰を顧客とするか

設計図をつくる際に想定する主要顧客を誰にするか。
⇒設定を甘くすると誰にも訴求できない
⇒設定を狭くすることで発想の焦点を絞るべき
※狭いターゲットでの成功は周りに波及するため、多様な顧客を生み出すことになる。

・市場細分化⇒さまざまな細分化方法があるが、ありきたりでなく、自社に適合したユニークな子女細分化が必要となる。

○競争相手はだれか

競争相手も想定によりいろいろ考えられる。
例)ボールペン市場:「字を書く」という機能、ノベルティ市場など
⇒5フォースモデルでステークホルダーを検討する。(P.49)

2.差別化のポイントと競争の武器

○顧客にとっての価値と競争の武器

「ニーズの束」・・・顧客の多面的なニーズ。以下の4種類に区分できる。
価格、製品そのもの、サービス、ブランド

ニーズの束に応じた「差別化」

①製品差別化:機能や品質そのもので競争相手との差をつくる。
 ⇒どのような機能やデザインを顧客が欲しているかを探るための仕組みが競争の鍵

②価格差別化:製品は似ていても、価格で差をつくる。
 ⇒低価格・低コストを実現するための大量生産・大量流通やロスの減少が競争の鍵

③サービス差別化:製品や価格が似てても、補助的なサービスで差をつける。
 ⇒納期や購入のしやすさを提供するための流通と物流やアフターサービスが競争の鍵

④ブランド差別化:顧客の心にブランドを確立して差別化

※差別化の注意点:①核として選択したニーズ以外の要因でも勝負可能であり、また最低限のラインがなければ勝負にならない。②競争状況次第でニーズの核は複数の選択が可能。③武器の差別化を具現化する供給システムの構築が重要

○個性の主張という差別化

企業全体として個性を主張する差別化

 二つのパターン

 ・製品の個性を競争相手と全く異なるものにし、あるいはまったく異なった企業であることを売り物にする。(ソニーやスターバックス等。また新規参入企業の一点豪華主義的個性での参入)

 ・微妙な差別化の集積で勝負する。(⇔漫然とした資源分散)(トヨタ等)
  ⇒すべての武器を使おうとするが、中心が想定されており、集中が行われる。

相当な供給体制の工夫が企業側に意識されて準備されている。
⇒⇒「明らかな違い」が差別化戦略の最大の鍵(日本企業はできていない)

3.市場の変化とダイナミックな差別化

○市場の変化(競争の焦点の変化、ニーズの進化、技術の進化)

○競争の焦点のサイクルへのダイナミックな対応

 製品のライフサイクルに応じて競争の焦点も変わっていく。
 「製品そのもの」⇒「補助サービス」⇒「価格差別化」⇒「製品そのもの」・・・

 取り得るスタンスは「すべての焦点で勝つ」「どこかでは勝つ」⇒現実的には後者
 ⇒かといって勝負しない焦点でも最低限は対応しないとボロ負けになる
 ⇒「市場の焦点は変化するが、自分の競争の武器の中心は変えない」という戦略的スタンス⇒ブランドが構築できている企業はどの段階でも「ブランド差別化」ができて強い

○肯定技術と否定技術の組み合わせ

肯定技術:古いニーズ、現存の大きなニーズに対するビジネスを「肯定している」技術

否定技術:新しいニーズに対応して、既存の技術の価値を「否定している」技術

⇒互いに否定し合う⇒逆に組み合わせて持つ戦略も必要になる
⇒組合せ戦略の三つの効果「肯定技術の改良」「否定技術の進歩」「顧客資源の共通利用」
⇒但し、組織のしがらみ等から相当に難しい戦略となる。

4.反撃への対抗策と非競争への志向

○反撃への対抗策

価格戦略は安易にとるべきではない⇒容易に反撃し得るため。
・反撃を予想して、二の矢、三の矢を用意し、段階的に戦略を実行する。
 例)パソコンの新製品投入等。
・相手の反撃意欲が小さくなるような戦略をとる⇒参入障壁を高める。
例)競争企業が共食いを起こす代替品戦略、設備投資戦略、特許戦略、流通系列化、コスト優位

○市場のすき間を狙う

すき間を発見するためには先入観なく顧客のニーズを見極める必要がある。

3種類のニーズ

・顧客も企業も知っているニーズ⇒気付いていても構造上参入しにくい市場に参入する術を考える。

・顧客は自覚しているが企業が知らないニーズ⇒企業の思い込み等により発生する、顧客ニーズをとらえられる企業ととらえられない企業の「情報の格差」を利用する。

・顧客は無自覚で潜在的に持っているニーズ⇒顧客の説得から必要になるが、達成すれば大きな市場に発展することが多い。
⇒⇒ニーズの掘り起こし、革新や既存秩序の破壊は、勇猛果敢な精神より小さな実験をステップ・バイ・ステップで積み重ねる精神から生まれることが多い⇒戦略的に実践する必要がある。

○非競争への志向という本質

企業が利益を得るためには経済学の教科書に書いてある競争状態を避ける必要がある。
⇒非競争を志向することが競争戦略の本質になる、というパラドックス
また、非競争を志向して成功しても、いずれ競争が激しくなり競争状態になる。そしてまた非競争を志向する・・・というダイナミズムが企業からみた競争の本質となる。


<演習問題>

1.音楽用CDの産業が傾いている

  ⇒CDメーカーが取るべき競争戦略

・現在の同業以外の競争相手はApple等の音楽ダウンロードサービス
 ⇒現在の土俵か?相手の土俵か?
 ⇒戦うか、手を組むか?
 同じくダウンロードサービスに取り組む場合、既存事業と食い合うことは避けえない。
 ⇒ダウンロードサービス事業への参入も検討しつつ、ジャケット等の装丁の工夫により「音楽を聴く」という効用以外の効用で勝負する。

2.個性の主張という差別化の戦略が成功する為の条件

・集合体として差別化⇒ニーズの束の各要素でなく、全体として差別化(価格、製品、サービス)

・微妙な差別化の蓄積⇒工夫・改善を継続的に実施して差別化(いろんな分野での微妙な勝利の積み重ね)

3.顧客のニーズの核への対応の武器(価格、製品、サービス、ブランド)が時間的にどのようなサイクルを描いて市場の競争の中心として動いていくかの具体例

市場が生まれる時、競争の推移により、なぜそうした変化が起きるか?
例)家庭用ゲーム市場:
最新の高性能なハード(製品)
⇒ハードにより選択できる付属製品、ソフト等(製品・サービス)
⇒値下げ(価格)