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【信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学】レポート

【信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学】
リチャード・ステンゲル (著), グロービス経営大学院 (翻訳), 田久保 善彦 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862761410/

○この本を一言で表すと?

 信念で自分自身を作り上げた人「ネルソン・マンデラ」の行動哲学の本

○よかった点、考えた点

・読んでいて熱くなってくる本でした。
もちろん生来の才能もあるのでしょうが、「こうあるべき」「こうありたい」という姿を自分自身に課してものごとを成し遂げていくことは、南アフリカを開放するような大きなことだけではなく、誰でも挑戦することができ、どのようなレベルでも意義があるように思いました。

序章 多面的な人物

・ネルソン・マンデラが南アフリカをアパルトヘイトから解放するための活動をずっと続けていて初代黒人大統領となったこと、マンデラが大統領となることで部族主義が進み、格差がより進んでしまったことなど、客観的な事実としてはこの人物の業績を知っていたのですが、マンデラという人物がいろいろな側面を持った「人間」であることがよく伝わってきました。

第1章 勇敢に見える行動をとれ

・「勇敢に見える行動をとれ」という言葉だけだと「虚勢を張っている」「表面的にテクニックで誤魔化そうとしている」と言う印象を受けましたが、自分が恐怖を感じるただの人間だということから逃げずに、その恐怖と立ち向かうことを選択して勇敢に振る舞うマンデラの姿がとても格好よく思えました。
フライト中に飛行機のエンジンが一基故障している時にゆったりと新聞を読んで見せることは、もちろんパフォーマンス的な意味もあると思いますが、どのような状況であっても自分の選択は自分で選べることを思わせます。

第2章 常に冷静沈着であれ

・衝撃的な事態が起こっても冷静な判断を下せること、これはリーダーにとって重要なことだと思います。
元々感情的だったマンデラがこの冷静沈着であるという資質を後天的に身に付けたことはすごいことだと思いますし、誰でもそのように自分自身を鍛えることができるのだと勇気づけられるなと思います。

第3章 先陣を切れ

・マンデラは自らが主導してANC(アフリカ民族会議)を非暴力不服従から武力闘争に切り替えた人物ですが、そのような前提にあるにもかかわらず、状況の変化を感じ取って政府側との交渉を始め、そのことについての結果責任も取る覚悟を決めたというのは、すごい意思と実行力を持った主体性、率先力と言う言葉の見本になる人だなと思いました。
「先陣を切ることが大事」というと自分勝手に行動することと勘違いする人もいそうですが、自己の責任だけでなくその結果の責任も取ると決めて動ける人はなかなかいそうにないなと思いました。

第4章 背後から指揮をとれ

・必要があるときに先陣を切るだけでなく、組織を動かすことの義務として周りを動かすことでものごとを成し遂げるのもリーダーの重要な資質だなと思いました。
自分の立場における義務を自覚し、意思決定や行動について周りの人の参加を促し、マンデラの意思決定ではなく、みんなの意思決定とすることも重要だと思います。全てにおいて先陣を切ればよいのではなく、全てにおいて背後から指揮をとっているだけでよいのでもなく、適宜使分けることができるのがマンデラのすごいところだなと思いました。

第5章 役になりきれ

・マンデラがどういう人物であることが望ましいかを考え、そういった人物であることを外見・姿勢・発言などを徹底的に発信していたというのはすごいなと思いました。
アフリカシャツをもはや西欧のスタイルに身を包む必要がないという発信に絡めたのは、ガンジーがイギリス製の服を焼き捨て、自ら糸車を回すことで自国製の服を着ることをアピールしてナショナリズムを啓発したことと似ているなと思いました。

第6章 原理原則と戦術を区別せよ

・「7つの習慣」を読んでいると「原理原則」に自分を合わせることが大事と書かれていて、この本ではマンデラが目的のために「原理原則」を変えたと書かれていますが、「原理原則」が何を指しているかの違いかなと思いました。
この本で言う「原理原則」は「7つの習慣」で書かれている「価値観」のことを指しているように思えました。
「こうありたい」という価値観を現実に合せて曲げることができるのはそう簡単なことではなく、現実を徹底的に見据えた上でないと難しいことなのだなと思いました。

第7章 相手の良い面を見出せ

・「相手の良い面だけを見ることにしている」という人にたまに会いますが、そうすることで相手の良い面を引き出せている人は少ないと思います。
マンデラが良い面をみることによる感情的に傷つけられるリスクがあることを勘案したうえでそうしていることを知り、「相手の良い面を見る」ことと「感情的に傷つけられる覚悟を決める」ことがセットである必要があるのかなと思いました。

第8章 己の敵を知れ

・孫子の「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」という言葉は有名ですが、それが高いレベルで実践されることは少ないと思います。
白人について知るために白人たちが使うアフリカーンス語を学び、白人の文化を学び、キーパーソンの考え方や趣味についても学ぶことで、ついには白人も黒人に対して恐怖していることを知り、現実的な打開策までたどり着いたマンデラの実践はすごいなと思いました。

第9章 敵から目を離すな

・自分にとって脅威である敵を自分の近くに置いておくことで備えることは大事だと思いますが、それを実践するのには胆力がいることだなと思いました。
マンデラとは逆路線の武闘派の者を側近にしたり、明らかに敵対してきた者を勝利した後で政府に入閣させたりというマンデラの行動はとてつもない胆力があってのことかなと思いました。

第10章 しかるべきときにしかるべく「ノー」と言え

・「ノー」と言うべきときにはっきりと伝え、言うべきでないときには伝えないということは、私も「7つの習慣」の第三の習慣で「ノーと言える喜び」というところを読んでから実践しようとずっと挑戦していますが、なかなかできていません。
マンデラの対応を知って、重要なときにとっさに反応してしまわず、冷静沈着で熟考できることが必要かなと思いました。

第11章 長期的な視野を持て

・長期的な視野を持つことが重要だということはよく言われますが、それを意識して実践し、行動に移している人となると格段に少なくなるなと思います。
長期的な視野を持つことで得る大きな果実を得るために、短期的に得られる小さな果実を諦めることができるかどうかが、大きなことを成し遂げられる人とそうでない人を分けるところかもしれないなと思いました。

第12章 愛ですべてを包め

・大きなことを成し遂げる上で、小さいことを犠牲にせざるを得ない立場だったマンデラが愛情深い人間のまま生きてきたということはすごいことだなと思いました。
「7つの習慣」シリーズの中で、マンデラの発言として「数百万人の幸せよりたった一人の幸せのために生きることの方が尊いことです」というようなことが取り上げられていましたが、南アフリカのために自分の家族を省みることができなかった人物の発言だけに重いなと思いました。

第13章 「負けて勝つ」勇気を持て

・マンデラが大統領になる時に、身を引く時期を明言して実際に身を引いたことは、南アフリカに民主主義を根付かせるための行動として、他のアフリカの国の首長と比較しても潔いなと思いました。
老子の「功成り身退くは、天の道なり」という言葉を実践した人だなと思います。
選挙権について自分の主張を周りの反対によって取り下げたことも、良い前例となったのだろうなと思いました。

第14章 すべての角度からものを見よ

・すべての角度、すべての視点でものを見ることができればいいなと誰もが思うと思いますが、自分の今までの行動や考え方、立場などがそうはさせてくれないものだと思います。
マンデラの立場であればより一層それが難しいと思いますが、それができるというのはこの人物の器の大きさであり、その器を大きくしようと研鑽し続けたからかなと思いました。

第15章 自分だけの畑を耕せ

・マンデラが畑を耕すことで自分だけの時間を持っていたというのは人間味があると思いますし、それが現実として必要だったのだろうなと思いました。
この「自分だけの時間・場所」を持つことは身近な夢でもあり、意外と難しいことだなと思います。

マンデラからの贈り物

・この著者がとてもマンデラを尊敬し、惚れ込んでいることが伝わってきますが、こういった人物と交流することができた喜びがよく伝わってきました。
マンデラはいろいろな人に影響を与えてきたのでしょうが、その生き方だけでこの著者のように影響を受ける人がいるというのはすごいなと思いました。