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【アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新】レポート

【アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新】
野中 郁次郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121012720/

○この本を一言で表すと?

 アメリカ海兵隊の通史と自己革新についての本

○面白かったこと・考えたこと

・アメリカ海兵隊の設立の経緯からどのように変わっていったかの過程を俯瞰できました。別の本を読んで間違って解釈していたところもあり、知識を更新できました。
陸海空を統合したタスクフォースによる侵攻作戦は真珠湾攻撃からアメリカが学んだと何かの本に書いてありましたが、それより前から研究されていたということが分かりました。
アメリカの軍隊は陸軍・海軍・空軍・海兵隊の4種あるものと思っていましたが、海兵隊が海軍所属ということを初めて知りました。

第一章 存在の危機

・設立経緯が「イギリスにあるから作った」という単純なものだったというのは初めて知りました。
そこから艦上警察が主任務になり、海軍から排斥されそうになった中でマハンのシー・パワーの考え方が広まり、前進基地の防御、陸軍支援という別の任務を獲得していくという過程は、立場が曖昧でアメリカ軍という大きな組織の中で漂流するような不安定な立場に置かれていたのだなと思いました。

第二章 新たな使命の創造

・水陸両用作戦という考え方が生まれ、それを実践する組織という使命を新たに持ってそれに邁進するプロセスは自己革新の良い見本だなと思いました。
その使命に必要なスキル・兵器・作戦等を開発していく過程は、目的を精神論ではなく着実に達成していく強固な進め方だと思いました。

第三章 教義の実践

・日本が敗戦に方向転換するきっかけとなったガダルカナル島の戦いはアメリカが全体的にずっと優位に立って圧倒的な勝利を収めたイメージでしたが、水陸両用作戦を始めて大規模に展開し、失敗も多かったことと、そこから教訓を得ていったというのは、これも自己革新の流れだなと思いました。

第四章 教義の革新

・ガダルカナル島での教訓から水陸両用作戦を練り上げた後での戦いで、かなり作戦通り進めることができるようになったことと、海軍とのセクショナリズムから艦砲による支援が少なく、被害が大きかったことなどは、組織の良い方向と悪い方向の両側が出ているなと思いました。

第五章 革新への挑戦

・第二次世界大戦でかなりの完成度を見せた水陸両用作戦の軍隊という使命から、即応部隊という環境に適応した使命を追求する組織への革新していったのは、成功事例に溺れる他の多くの事例と大きく異なるなと思いました。
その海兵隊の各階層を育てるためのブーツ・キャンプや士官教育が書かれていて、その厳しさから確かに精兵集団になりそうだなと思いました。

・一般兵よりも士官の方が、座学においてだけでなく現場における作業の訓練においても厳しいというのは納得のいく上下関係が作られる組織構築法だなと思いました。

・最新機器等を追求しながら、現場の「インテリジェンス」の方をより重視するという姿勢は企業においても重要なことではないかと思いました。

第六章 組織論的考察

・海兵隊が自己革新組織であることがまとめられていました。
各自が特化した者の集合ではなく、各自が戦争に関する必要分野を一通り経験した者の集合というのは、失敗すれば何もかもが中途半端になりそうですが、うまくいけばこの章での主張通り有機的な組織になりそうだと思いました。