【リーマン・ショック・コンフィデンシャル】【国家対巨大銀行】レポート

【リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたち】
アンドリュー・ロス・ソーキン (著), 加賀山卓朗 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152091436/

【リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人】
アンドリュー・ロス・ソーキン (著), 加賀山卓朗 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152091444/

【国家対巨大銀行―金融の肥大化による新たな危機】
サイモン・ジョンション (著), ジェームズ・クワック (著), 村井 章子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478014752/

○「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」を一言で表すと?

 リーマン・ショックと言われる金融危機における動きを様々な当事者の視点から見た本

○「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」を読んでよかった点

・「リーマン・ショック」とは何だったのか、どのようなことが起きていたのかを詳しく知ることができました。

・「リーマン・ショック」の当事者の背景とその背景や立場による動き方を知ることができました。

・アメリカ政府と金融機関の関わりについて知ることができました。

○「国家対巨大銀行」を一言で表すと?

 建国当時の金融事情からリーマン・ショック後までの流れと打つべき対策を書いた本

○考えたこと・思ったこと

・金融危機に直面するまでは実績を上げてきた金融エリートたちが、金融危機では各々が自分自身の思考パラダイムに囚われ、状況を把握することに時間がかかり、または最後まで把握できなかったことが印象的でした。
持っている情報が不完全で大きなリスクを抱えた状況だからこそ適切な意思決定を適時に下すことが難しい、ということが伝わってきました。

・政府の金融危機への対応において、金融機関とその顧客だけでなく、政治や世論の動きが重要であるということが伝わってきました。
5大投資銀行の中で最も脆弱であったベア・スターンズが救済され、GSE(政府系支援機関)のファニーメイとフレディマックが実質国有化された後で、世論が許さない(と少なくともポールソン財務相長官は考えた)リーマン・ブラザーズ救済を諦め、その後さらに影響の大きいAIGを救済して他の金融機関を守るTARP(不良資産救済プログラム)を打ち出した、という流れは市場だけ考えていたら理解しにくいことだと思いました。

・ジャーナリストが書いた「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」と経済学者が書いた「国家対巨大銀行」の内容の違いが面白かったです。
立ち位置が違えば見方も違うのだなと思いました。
「国家対巨大銀行」はリーマン・ショックの前後についても詳しく書かれていて、そもそもリーマン・ショックが起きた大きな原因の一つは前FRB議長のグリーンスパンが「市場に任せるべきだ。金融危機は何が起こるか予測できないから救済は崩壊の後で考えればいい。」という考え方でデリバティブの監視を放棄したことにある、ということはなかなか興味深かったです。
ウォール街が3つの点(①金、②人、③文化)で政府を侵食していてそれを改善しなければさらに大きな金融危機がくること、リーマン・ショックにより生き残った金融機関がより大きく膨れ上がり政府の保証を得てさらに拡大していることなど、リーマン・ショック後の動きも知ることができました。

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