【物語韓国史】レポート

【物語韓国史】
金 両基 (著)
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○この本を一言で表すと?

 日本生まれの韓国人が書いた朝鮮半島の神話と歴史の本

○この本を読んで面白かった点

・ちょこちょこ出てくる「檀君の母・熊女のつぶやき」が話を簡単に総括していて分かり易い反面、日本の天皇崇拝の朝鮮版といったところで著者の意見が出ているのかなと思いました。

Ⅰ章

・朝鮮でも建国神話があったことを初めて知りました。古事記の話などはむしろこれをモデルにしているのかもしれないなと思いました。(天帝の孫の桓雄が三種の神器を天帝から授かり、天降って神市を開き、人間になりたい熊と虎にその方法を教えて虎が挫折して熊が人間となり、桓雄と人間となった熊女の間に子供ができて檀君となった。)

・中国では漢の時代に衛氏朝鮮があったというのは昔聞いたことがあるような気がしますが、その興亡とその後の対策として漢の武帝が節度使を置いたエピソードは初めて知りました。

Ⅱ章

・高句麗と百済の祖先が同じ扶餘族ということは初めて知りました。
また、その祖先も高句麗の開祖である朱蒙の子である温祚が百済の開祖と近い関係というのは面白いなと思いました。
温祚が兄の沸流より大器だということを見せて王になる流れはこれまた古事記の海幸彦・山幸彦の話に似ているなと思いました。

・中国でも朝鮮でも日本でも同姓のものが王統を継ぐのが普通であるイメージですが、新羅だけ三姓が交代しているというのは面白いなと思いました。

・高句麗・百済・新羅・伽耶のどの建国伝説でも開祖は卵から生まれるという話になっているのは面白い共通点だなと思いました。

Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ章

・朝鮮三国時代は高句麗が強く百済が弱く新羅はその間で中国と組んだ新羅が最後に勝利、というイメージでしたが、率いる王の強さによってそれぞれが強かった時代があったことを初めて知りました(高句麗の広開土王、百済の近肖古王、新羅の武烈王)。

Ⅴ、Ⅵ章

・後三国(新羅、高麗、後百済)の話はあまり知らなかったので新鮮でした。(後高句麗が成立し、反乱ですぐに潰されて高麗が起こり、新羅から高麗が禅譲され、後百済では王の甄萱が自分の子に幽閉されて高麗の力を借りて自分の国を滅ぼしてその後は仏寺に入って余生を送ることになり、高麗が朝鮮全土を統一。)

Ⅵ章

・今の韓国でも全羅道(昔の百済地域)が差別される傾向が残っていると聞いたことがありますが、その原因が高麗の開祖である王建の十ヶ条の遺訓で百済の者を登用しないことを定めたことというのは初めて知りました。

Ⅶ章

・朝鮮は儒教の国のイメージがありますが、歴史上ずっと仏教国だったこととのイメージと相まってよく分からなくなっていましたが、李成桂による朝鮮王朝で崇儒廃仏政策を取ってそうなったことを知って納得できました。

・ハングルが1443年に世宗のもとで作られながら、有力者の反対を受け、3年かけて「君民正音」を発表したものの、500年経ってようやく国字の地位を得たというのはなかなか苦労の歴史だなと思いました。

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