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【昭和史(下)】レポート

【昭和史(下)】
中村 隆英 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492061878/

・昭和の62年強(昭和元年と昭和64年が短いため)の間に集中して上下巻900ページ近くのページ数を割いているだけあって、昭和の歴史を著者と一緒にゆっくりと眺めていくような感覚でいろいろと思い浮かべながら読めました。

・下巻は戦前の上巻に比べて著者が成人してから自分の目で見た世間の動きという印象が強くなったように思いました。
記述が客観性に欠けるというわけではなく、客観的な事柄に併せて著者自身の体験や意見も述べられていて面白く読めました。

第5章 占領・民主化・復興

・戦争直後の混乱とGHQの占領政策の変遷、政治の動きなど、いろいろな要因、それも自分たちではなかなかどうしようもない要因に囲まれる中で当時の政治家たちが立ち回って何とかしようという意気込みが印象的でした。

・占領国と被占領国という対立構造から、共産圏という共通の敵に向かう協調構造に移行するまでのダイナミックな動きがすごいなと思いました。

第6章 「もはや戦後ではない」

・つい最近まで続いた「五十五年体制」が成立し、政治がある程度安定して経済政策に集中できるようになり、所得倍増計画などの大きな動きもあって成長していく日本の雰囲気が伝わってきました。
その成長を主導する政府に対抗するかのように安保闘争や三池闘争などの大きな闘争があったり、労働者の需要が大きくなって大部分の人たちが中流といわれるようになるほど安定したり、イデオロギーより経済的な理由の方が大衆の中で大きな要因になっていっている気がしました。

第7章 成長を通じての変貌

・景気が良くなってはすぐにトラブルというパターンが続く中で、全体としては大きく成長していく高度成長期の雰囲気がよく伝わってきました。
石油危機などの頭打ちになるトラブルがあっても「またよくなる」と思える、日本人のほとんどが感じている波のようなものがあったのだろうなと思えます。

・成長の弊害としての公害問題や、理由のよくわからない大学紛争、旧来の価値観への回帰など、今とは違うけれども今に繋がっている流れのようなものも感じます。

・石油危機の時に首相官邸で開かれた緊急石油対策本部の会議で、物価統制令で乗り切ろうという流れが、椎名自民党副総裁の「物価統制は大変だ。つながりのあるものすべてを統制するハメになって、ついには植木鉢の統制まで手を付けた」というボヤきで物価統制は止めるという流れに変わったエピソードはその場の雰囲気がよく伝わってきて面白かったです。

第8章 「大国化」と「国際化」

・田中角栄はロッキード事件で内閣を降りたイメージを持っていましたが、降りた後でさらにダメージを受けたことを初めて知りました。
金権政治家だったという話は何となく知っていましたが、選挙資金として1,000億円ほど撒いたりしていたというのはスケールの大きな話だと思いました。

・円高は1985年のプラザ合意で一気に進んだイメージを持っていましたが、それまでも円高は進んでいて、ドル切り下げによってより進んだのだなと、流れがようやく理解できたように思います。

・軽工業から重工業、そしてメカトロニクス産業へと産業の重点を変えていって、急な円高でも貿易額がそれほど変わらないほどの体制ができていたというのは、この本で昭和の流れを見ていく中でも驚きだなと思いました。

・目の前のことを必死でやっていって「追いつけ追い越せ」と思っていて10年ほど先頭に立っていたことに気付かなかったという日本のイメージは、当時小学生くらいだった私でも実感として分かる気がします。