【炎と怒り――トランプ政権の内幕】
マイケル ウォルフ (著),池上 彰 (その他), 関根 光宏 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152097566/
○この本を一言で表すと?
外側から見るより単純で恐ろしいトランプ政権の内幕の本
○面白かったこと・考えたこと
・Yahoo!ニュースの海外欄やたまに見るニュース、選挙戦の状況をリアルタイムで報告するサイトなどで、トランプ大統領の選挙戦から就任して現在に至るまでを見た程度ですが、そういった外側から見た姿と、内部でのあり方の違いに驚かされました。
どこか「大統領である以上、こういったところは押さえているはず」などの先入観を前提にニュースを解釈していましたが、凄まじく場当たり的なトランプ大統領のあり方に、「さすがにこれはないだろう」と思いながら読み始め、最後まで同じトーンだったので二重に驚きました。
・いろいろトラブル続きで自粛も特にしないトランプ大統領が現在に至るまでその職に就き、アメリカもそれなりに回っていること自体がすごいと思えます。
日本と違って政権交代で官僚も入れ替わる体制で、しかも大統領周辺は政治の素人だらけ、高官はすぐに辞めて入れ替わるという状態で、それなりに回っている理由を知りたいなと思いました。
・政治家、経済界の大物等が関わっていることは知っていましたが、その関わり方が面白いなと思いました。
リーマンショックなどは経済界と政界をいったりきたりする回転ドア方式が裏目に出たケースだったと思いますが、トランプ政権では人材が経済界から補充できるという意味ではプラスに働いているのかなと思いました。
・トランプの裏の主人公としてこの本で描かれているスティーブ・バノンは名前自体初めて知りました。
ジャーヴァンカの方はニュースでもよく出ていましたが、バノンは日本ではほとんどニュースに出ていなかったように思います。
そのバノンがジャーヴァンカと競り合うくらいの権力をトランプ政権で有していたこと、経済界では芽が出ず、二流どころを上下しながらトランプ陣営の舵取りを担い、政府を辞めた後では自身の大統領選出馬まで視野に入るような立場まで成り上がっていったのは、日本だと豊臣秀吉くらいのサクセスストーリーかなと思えました。
・衝撃的過ぎてこの本の内容は話半分くらいで、今後のトランプ政権の動きを見てこの本の流れと単純な印象の二面で解釈していこうと考えていますが、それにしても話半分でもインパクトが強すぎるくらいの内容でした。
アメリカの立ち位置が大きく変わり続け、日本も巻き込まれて今後どうなっているか、戦々恐々としながらも楽しもうと思います。
○つっこみどころ
・多数の翻訳者で分担しているからか、原文がそうだからか、同じ人物をファーストネームで呼んだりファミリーネームで呼んだりニックネームで呼んだり、統一されていないことから新たな登場人物かどうかの判断が面倒でした。
トランプ、バノン、ジャーヴァンカ以外の人物を明確に書き分けられていないことが原因かもしれません。
・登場人物が入り乱れていて、誰がどういう立ち位置なのか思い出せず、最初にある「主要な登場人物」を何度も参照しましたが、載っていない人物も結構いて不便でした。