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【平成の経済】レポート

【平成の経済】
小峰 隆夫 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532358019/

○この本を一言で表すと?

  経済関係の省庁に在籍していた人の平成30年間の経済を総括した本

○面白かったこと・考えたこと

・経済企画庁を始め、平成30年間を経済関係の役所で勤務していた著者が、平成の経済を俯瞰して各時代ごとにまとめている本でした。

・終章のまとめが面白かったです。
バブルの中ではバブルとわからない、国際収支への一般的な認識と経済学の考えがかけ離れている、バブル後には金融面での大きな弊害が現れる、日本では経済がうまくいかないと財政出動型の景気対策で対応しようとする、財政再建・構造改革の最大の障害は社会保障改革、消費税は政権にとって鬼門、政治改革・行財政改革などに国民的関心は最初だけしか集まらない、というのが著者の感想だそうです。

第Ⅰ部 バブルの崩壊と失われた20年の始まり

・バブル崩壊とその後の経済事件、内需拡大・円高恐怖に基づいた安易な経済学に反する政策、世論に動かされたバブル潰しの状況、政府の景気判断の混乱、阪神大震災の発生、財政出動と公定歩合引き下げの繰り返しなどについて述べられていました。

第Ⅱ部 金融危機とデフレの発生

・1990年代後半のアジア通貨危機と住専問題、都銀や大手証券会社の倒産等が重なる金融危機が起こり、金融再生法が成立し、大蔵省から金融庁が分離され、デフレが進展し、ゼロ金利政策がスタートするなどのトピックが挙げられていました。
橋本総理の省庁再編と金融ビッグバンや、財政赤字の拡大、地域振興券の発行についても触れられていました。

第Ⅲ部 小泉構造改革と不良債権処理

・2000年代前半の小泉政権の構造改革と不良債権処理がメインに取り上げられていました。
この頃に非正規雇用が大幅に増加し、経済財政諮問会議で予算の骨子が決まるようになり、金融再生プログラムでRCC(整理回収機構)を活用した不良債権処理が進み、産業再生機構を創設して企業の経営再建なども進んだそうです。

・三位一体改革で地方への財源移譲が進み、規制改革や社会保障改革、郵政民営化なども進め、デフレが続く中で日本銀行がゼロ金利を飛び越えて量的緩和に踏み込んでいったこと、このときは量的緩和も出口が容易に見つけられたことなどにも触れられていました。
小泉政権は外交や党運営などで大きく批判されていますが、経済面ではかなり大きく動いて成果を出しているような印象を受けました。

第Ⅳ部 民主党政権の誕生とリーマンショック

・市場原理批判、格差社会への批判などからリーマンショックまで、社会が大きく動揺して自民党政権批判に繋がり、民主党への政権交代に繋がった流れが書かれていました。

・政治主導、脱官僚を進めて国家戦略会議なども創設したものの失速し、財源の見通しの甘さや事業仕分けの成果の低さ、マニュフェストの修正や財政赤字の拡大などが続き、毎年のように成長戦略が打ち出されたものの実効性がなかったことなどが述べられていました。
東日本大震災が起こってその対応やその後の経済運営についても触れられていましたが、その辺りには批判が少なめで意外でした。

第Ⅴ部 アベノミクスの展開

・2012年以降の第二次安倍政権の経済政策について触れられていました。最初はうまくいったアベノミクスも景気拡大を支えた4点セット(株価上昇、円安の進展、公共投資増加、消費税増税の駆け込み需要)が切れた2014年4月以降は足踏み状態となり、一億人社会や地方創生、働き方改革などを打ち出しているものの、まだ成果は見られていないことなどが述べられていました。

・黒田日銀総裁の異次元緩和の効果も同様に最初はサプライズ効果が見られたものの裏目に出ているとの評価でした。

・現在はまだ持続不可能な財政状態にあり、財政再建や社会保障費増加への対策などはまだ課題として残されていて、アメリカのトランプ政権の動きへの対応、先送りした政策への対応なども問題として残されているそうです。

○つっこみどころ

・ 読み終わった後、一ヶ月経つと内容をほとんど憶えていませんでした。
改めて見返すと文章のメリハリがなくてどのトピックも同じレベルで並列に書かれているからかもしれないなと思いました。