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【これから50年、世界はトルコを中心に回る ― トルコ大躍進7つの理由】レポート

【これから50年、世界はトルコを中心に回る ― トルコ大躍進7つの理由】
佐々木 良昭 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4833419998/

○この本を一言で表すと?

 トルコ好きの著者が書いたトルコの現状・未来分析本

○この本を読んで興味深かった点

1章 理由その1―トルコ大躍進のかげに3人のカリスマあり

・トルコの首脳3名(エルドアン首相、ギュル大統領、ダウトール外務大臣)とカルーン首相補佐官、ババジャン副首相という傑出した人材がトップにいるのは今後も含めて心強いなと思いました。
「おわりに」で書かれていた偽経済を主導していたエルゲネコンの解体など、不正を廃して成長国家としての軌道に乗せた手腕は大したものだと思いました。

2章  理由その2―トルコには精神的支柱となる人物がいる

・「ヘズメト」と「ギュレン」は大部分の日本人の例に漏れず、私も知りませんでした。

・幼少の頃から才があり、他宗教の教義にも配慮できる宗教指導者であるギュレンが、150ヶ国に跨るヘズメトを設立して教育や貧困救済などのさまざまな活動を展開しているというのはかなりスケールの大きな人物だなと思いました。

3章 理由その3―トルコは開かれた国際国家である

・トルコがオスマン・トルコ時代の繋がりを今も違った形で有し、世界中に奉仕活動の枝を伸ばしているというのはすごいなと思いました。
バングラデシュが国連活動に精力的に協力していてその規模が世界上位に入る、という話を聞いたことがありますが、トルコはそれよりも対象範囲が広く、国際関係を良好にする目的をしっかり満たせていると思いました。

4章 理由その4―トルコに投資すれば利益と喜びがついてくる

・ISPAT(トルコ共和国首相府企業誘致促進エージェンシー)が企業誘致のために掲げている「トルコに投資する10の理由」(好景気、人口、有能な労働力、自由かつ改革が進む投資環境、整備されたインフラ、地理的状況、欧州へのエネルギー供給、低税率及び奨励策、EUとの関税同盟、大規模な国内市場)は確かにかなりの好条件だなと思いました。
ボスポラス海峡横断トンネルと第二ボスポラス海峡が完成した後の姿を思うと、国家としてさらに経済規模が拡大することは間違いのないことのように思えます。

5章 理由その5―トルコが中東の地図をぬり変える

6章 理由その6―トルコはアメリカに対して優位である

・トルコがイスラム圏だけでなくドンメ(イスラム改宗ユダヤ人)でユダヤ圏とも繋がりがあるということと、アメリカから見てポスト・エジプトとしての役割が期待されるという位置づけはなるほどなと思いました。

7章  理由その7―トルコ国民はきわめて親日的である

・日露戦争、エルトゥールル号の件で親日的である話はいろんな本で読んだことがありますが、今なおトルコ人の中に息づいているというのはなかなか義理堅い民族だなと思いました。

・トルコがイスラム圏でありながらビジネスルールが通用するというのはかなり欧米人や日本人からするとやりやすい国だなと思いました。

終章 疲弊した日本がトルコに学ぶこと

・トルコ人のリスクを取る志向、考えながら動く狩猟民族的思考、正装への日本人以上の意識は知っておいて損はないなと思いました。

○つっこみどころ

・トルコでも同時に発売される本ということもあり、かなりトルコ寄りに書かれた本だなと思いました。
書かれてから8年経った時点で振り返ると、興味深いと思った内容のほとんどが著者の記述から外れていて、完全に失敗してるように思えました。

・第5章の江戸幕府の幕藩体制とオスマン帝国の政治手法が似ているというのはかなりこじつけっぽい気がしました。江戸幕府はあくまで同一民族としての支配体制であり、ローマ帝国とオスマン帝国の共通点の方がよほど大きいように思います。

・第5章の「ニュー・ミドルイースト・マップ」は民族分布で国境を区切る考え方でそれ自体はありかなと思いましたが、1退役将校が発表したことを「荒唐無稽な絵空事」でない根拠とするのは少し薄いのではと思いました。