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【間に合った兵器―戦争を変えた知られざる主役】レポート

【間に合った兵器―戦争を変えた知られざる主役】
徳田 八郎衛 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4769823401/

○この本を一言で表すと?

 技術から見た第二次世界大戦の背景と因果関係を書いた本

○面白かったこと・考えたこと

・第二次世界大戦について書かれた本は何冊か読んだことがありますが、兵器や技術を中心に書かれた本は初めて読みました。
他の本で技術について書かれた箇所はありましたが、この本を参考にしたか、同じ文献を参考にしたのかなと思いました。
これまで読んできた本で、兵器や技術について一面的に書かれていたことを鵜呑みにしてあまり深く考えていませんでしたが、様々な分野の技術が様々な経緯で成長し、また技術の成長で戦略や戦術などが大きく変わっていくというのは当然の話で、今まで目を向けていなかった視点で考えられました。

第一章 電撃戦を可能にしたドイツ快速戦車

・なんとなくドイツは戦車大国というイメージを持っていましたが、実際にはフランスの方が自動車大国で戦車大国でもあったり、戦車後進国であったりしたところから技術を蓄積し、その戦力の見方を変えて電撃戦を成功させたということは初めて知りました。

・ドイツが電撃戦を重ねて勝っていったイメージがありましたが、実際に電撃戦と言えるのは一回だけというのは、桶狭間で大きく賭けた後は戦力差に気を配って堅実に戦った織田信長を連想しました。

第二章 知られざる防空戦闘機ハリケーン

・イギリスで空軍が重視されていなかったところにチャーチルを始めとして空軍の優先順位を上げた人たちがいたことで大きく促進したこと、性能だけでなく量産性が戦力強化にとって大きな要因となったことは、量産性を重視していなかった日本が苦労したことを考えるとかなり差が出ているなと思いました。

・ガソリンの質(オクタン価)が戦闘機の性能差を大きく広げたことは、戦争における決定要因の幅広さを感じました。

第三章 南方作戦を決意させた日本戦闘機の航続力

・なんとなく日本については、独自でかなりの開発力を持っていたこと、組織が硬直していたことなどの偏見を持っていましたが、実際には昭和に至るまでお雇い外国人の貢献があったこと、陸軍でも開発に対してかなりの裁量が与えられたりチャレンジが許されたりしていたことは初めて知りました。
その自由度ゆえに量産性や部品の標準化がうまくいかず、正常稼働率が低かったというのは、何事も一長一短かなと思いました。

・航続力の拡大が戦い方を変えるというのはかなり分かりやすく、大きな要因だなと思いました。

第四章 上陸作戦の様相を変えた画期的発明

・上陸戦において、真珠湾攻撃以降タスクフォースや海兵隊が開発された、という組織的な話は知っていましたが、上陸するための上陸用舟艇や水陸両用車などの技術的な要因からの進展は初めて知りました。
その技術開発において民需技術を活用したアメリカの柔軟さはすごいなと思いました。

第五章 英国の知恵と米国の生産力

・レーダー技術について、日本で開発した八木アンテナがアメリカ軍に先に使用されていたというエピソードが有名ですが、それには触れられておらず、レーダー開発のイギリスの企画力とアメリカの実現力で積み重ねられた経緯が書かれていました。
ミッドウェー海戦やレイテ海戦など、艦隊数などで日本が有利な状況で負けた要因にレーダー技術の差があったというのは初めて知りました。

・ペニシリンなどの医療技術の差が兵員の死亡率に関係し、戦力格差を広げたというのは、兵器だけでなく文字通りの「総力」戦ということを感じました。