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【フランス敗れたり】レポート

【フランス敗れたり】
アンドレ モーロワ (著), 高野 弥一郎 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4900594830/

○この本を一言で表すと?

 フランス版「失敗の本質」

○この本を読んでよかった点

・フランスがドイツに降伏した1940年に著者がこの本を出版し、また同年11月に日本でも翻訳されていたということに驚きました。
真珠湾攻撃(1941年12月)より1年以上前に出版されたこの本を当時の日本の上層部が熟読していれば歴史が変わっていたのかもしれないなと思いました。
読んでいて「自分たちは違う」と考えていた可能性もありますが。

・「失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇」に書かれていた通り、当時のフランスが今の日本にそのまま当てはまり、その解決策もそのまま当てはまりそうなことに驚きました。

・イギリスのチャーチルやフランスの首脳陣など、当時の主要人物に直接会って話した内容や印象が書かれていて、臨場感がありました。

・ドイツと開戦してからフランスが重要な最初の8ヶ月を空費し、負けるべくして負ける状態になってしまった理由が「信じたいことだけを信じ、信じたくないことは否認」という態度だったということはその後の日本軍と似ているなと思いました。
第一次世界大戦のトラウマによる平和への欲求、社会主義の興隆とナチス(ドイツ労働者党)の親和性、国内の産業界を優先してすぐに必要な兵器を数年先に生産できるようにしたり、勝手に「ここには攻めてこない」という前提を信じて陣地を敷いたり。
フランスらしいなと思うのは、ダラティエ首相とレノー財相(その後首相)の対立がそれぞれ友人(愛人?)の夫人に操作されていたことです。
また平時には問題ない優柔不断なダラティエ首相と有能でも独り善がりなレノー首相がそれぞれ有事には機能しなかったことも印象的でした。

・争っている場合ではない時期に争ってしまった英仏のその原因で独のプロパガンダがあるというのは、純粋な戦闘能力だけでなく情報戦でも独が勝っていたということかなと思いました。

・最後のⅥ章で書かれていた救済策はその通りにしていればフランスがやすやす負けることはなく、戦時の日本にも今の日本にも適用できると思いました。

(9つの救済策)

1.強くなること―国民は祖国の為にはいつでも死ねるだけの心構えがなければ、やがてその自由を失うであろう。

2.敏捷に行動すること―間に合うように作られたる一万の飛行機は、戦後の五万台に優る。

3.世論を誘導すること―指導者は民に行くべき道を示すもので、民に従うものではない。

4.国の統一を保つこと―政治家というものは同じ船に乗り合わせた客である。船が難破すればすべては死ぬのだ。

5.外国の政治の影響から世論を守ること―思想の自由を擁護するのは正当である。しかし、その思想を守るために外国から金を貰うのは犯罪である。

6.非合法暴力は直接的かつ厳重に処罰するべきである―非合法暴力への扇動は犯罪である

7.祖国の統一をかく乱しようとする思想から青年を守ること―祖国を守るために努力しない国民は、自殺するに等しい

8.治めるものは高潔なる生活をすること―不徳はいかなるものであれ、敵につけ入る足掛かりを与えるものである。

9.汝の本来の思想と生活方法を熱情的に信じること―軍隊を、否、武器をすら作るものは信念である。自由は暴力よりも熱情的に奉仕する値打ちがある。